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だって、こわいの

 茶化すわけでもなく、いたって真面目に彼を見つめれば、不安に潤んだ瞳と目が合った。 「だっ、て……痛かった、からっ」 「そういえば、それさっきも言ってたね。そんなにおっきいの使ったの?」 「……ちが、」 「きちんと段階踏まなきゃ、そりゃあ痛いよ。でも、これは恐いものじゃないし、ましてや痛いようなものでもない。お尻のナカで気持ちよくなるための、えっちなオモチャ」  目を見て、刷り込むように囁けば、テツヤさんは涙だかシャワーの水だかで濡れた睫毛を伏せ、うろうろと視線を彷徨わせる。 「っう、ぁ、あんたの声も、やだ」 「えっ、きもい? 俺の声。言われたことはないんだけどなあ」 「そうじゃ、なくてっ」  跨がった俺の下で、もじもじと足を擦り合わせるテツヤさん。  そんなことしても、捲れあがったバスローブの隙間から、見えてるよ。 「ふは、嘘うそ。意地悪言っただけ。嬉しいな、声にも感じるの?」 「……っや、」 「男に耳許で囁かれるのも初めて? 意識してるわけじゃないけど、気に入ってもらえたなら光栄だ」 「っひぁ、」  ゆるく勃ち上がった中途半端な硬さのそれを掴んで、手のひらでやんわりと捏ねまわす。  時おり会陰部を撫でさすると、彼の腰が跳ね、自身はどんどん硬度を増して。  くちゅり、わざと音が響くように耳の軟骨を口に含めば、テツヤさんの眉間に刻まれた皺がすうっと消えた。  とろけるような顔、やっぱ可愛い。 「これ、普通のより柔らかいから、ほんとに痛くはないと思うよ」 「……っ、」 「最初はきついかも知れないけど、きっと気持ちよくなる」  耳たぶを唇で食んでから顔を離す。  イボイボのついた薄いピンク色のそれをにっこりとテツヤさんに見せると、そこは思いきり目を逸らされた。  まあ、卑猥ではあるよね、色も見た目も。 「……自分でするのが恐いなら、俺が入れようか?」  けれどそう言ったとき、彼がぴくりと反応を示し、ほんの少しだけ素直に足を開いたのを、俺が見逃すはずが、ない。

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