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どこが好き?

 何ともいやらしく腰が揺れ動いている。  絶対口には出さないくせに、身体は正直だ。 「……あれ? どこだっけ、さっきのトコ」 「っんぁ、あ……ッちが、そこじゃ、なっ」  至極真面目に探るふりをして、バイブを動かす。  完璧に把握した前立腺の周りをオモチャの先でくすぐって、周囲をぐるぐるといたぶる。  途中で出力を強にしたら、彼は余計もどかしそうにお尻を痙攣させ、声をあげ、上気した困ったような顔で首を持ち上げて、俺を見つめた。 「やっ、ァ、あぁ……ッ」 「ねぇ、どこ? 分かんないから教えてよ、テツヤさんの好きなとこ」 「うっ、そだ、さっきまで、ちゃんと……っ」 「ちゃんと?」 「ッ、根性悪い……っ」 「あはは、それは心外だなあ」  笑っていると、彼はちょっとムッとしたような顔をする。  そういう表情もなかなか好き。  甘えて誘惑して媚びられるより、全然クる。 「……っ俺に、どうしろってんだよ……ッ」  眉根を寄せて困惑する顔がこちらを窺う。  でも軽く睨まれて、投げやりにも見えるその態度に可愛いなあ、なんて思って自然と上機嫌になる俺に、ハンディカムを構えたカメラ君がちらりとこっちを一瞥した。  実はさっきから何か言いたそうだったけど、撮影中は彼は絶対に声を出さない。  いずれにしろ『ニヤニヤすんなよキモい』『プライベートじゃねぇんだよ』といった感じの顔にはスルーしておく。  ちなみにテツヤさんは俺の行動に一喜一憂してて余裕なんてないから、彼の俺への冷たい眼差しには気付いてない。  カメラ君は気配消すのがプロってるからね。  存在感のなさは一流だと思う。  仕事熱心なのは有り難い限りですけども。  意識をテツヤさんに向け、にっこりと笑う。 「俺、これ持ってるからさ、自分で動いてみて?」 「ぇ……、は?」 「だからぁ、こうやって……、よいしょっ、と」 「う、うわっ、わっ、ぁ……」  彼の腕を掴んで起き上がらせると、俺の前に開脚させて、しゃがみこませた。  何となく昔のグラビアアイドルを想起させるセクシーな格好だ。  カメラ君が真面目な顔でテツヤさんの背後に移動する。  やっぱ寝転ぶ体位よりは結合部が撮りやすいよね。  もちろんバイブを持ってるのは俺。  股の間にある俺の手を、テツヤさんは明らかに愕然とした目で見つめてる。 『信じられない、何考えてんだこいつ』ってところかな、可愛い。

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