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後悔
思い立ったらすぐ行動、だ。
いくら後ろで快感を拾えるからといって、毎回ケツを使ってイくわけじゃない。
気分によって、アナニーまではいかなくとも竿を扱いて出すオナニーだけで充分なときもある。
だから何も、身構えることはないのだ。
「……」
テレビの前に座り込み、念のためティッシュを隣に置く。
なかなか複雑な気持ちになる。
いや、複雑というか、変な気分というか……。
なんたって自分の奥まった場所に初めて触れた男が、それを職業にしていて音声や映像をゲイ向けに販売しているんだ。
不思議な気分にならないほうがおかしいだろう。
再生ボタンを押せば、真っ暗な液晶に白い筆記体で、社名が映される。
それからすぐ、軽快なメロディーとともに、それは始まった。
───……
あまりちゃんと内容を見ないで購入してしまったが、パッケージの裏側を見て初めて知った。
基本的には一対一で、細くて小綺麗なイケメンの受け役が三人。
それぞれが前振りのインタビューを受けたあと、徐々に触れられ、溶かされて、ベッドで乱れていくよくあるシチュエーションのものだった。
そしてまさかの、タチ役は全てアイツである。
『名前は?』
『どこ触られるのが一番好き?』
境遇や状況がほとんど俺と同じせいか、気が付けば見入ってしまっていた。
久しぶりに聞くあいつの声が、テレビのスピーカーから流れる。
トップバッターは黒髪でつり目の細っこい印象のネコ。
自らの外見を自覚した、庇護欲を煽る受け答えが逆に男慣れしていそうに見えた。
だが、はにかみながら赤面ものの質問に素直に答えていくその様子は、確かに、文句のつけようがないくらいには可愛らしかった。
タチのあいつも満更でもなさそうだ。
これが仕事なんだから当然なのだが、にこにこと、俺にも向けていた笑顔で、ゆっくりと、他の男を押し倒す。
「……っ、」
……俺は、莫迦なのか。
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