45 / 63
溺れる
『やっあ、ぁン……っぁっ、アっ、』
「ん……っ、ふぁ」
本当は泣き出しそうな思いで、震えて力の入らない指を後ろに持っていく。
ぱくぱくと口を開くそこへ少しぐっと押し込めば、開発中の後孔は難なく指先を飲み込み、それどころかもっと大きなモノを望んで内壁がうねうねと蠢いた。
……最初は、後ろまでいじるつもりなんて、なかったのに。
自分の体内に入った自分の指。
こんな虚しいこと、したくない。
それは紛れもなく本心であるが、下腹部が重く疼き、熱く痺れて。
ローションを追加したあと、二本に増やす。
滑りが良くなったおかげでスムーズに出し入れ出来る己の身体が、浅ましく思えて恥ずかしい。
けれどもっといっぱい欲しくて、そんな自分に嫌悪しながら、性急に三本目の指を挿入した。
「っぁ、ぁあ……っん、」
なんとも情けない声が漏れる。
歯を食い縛ったって、背筋を貫き脳髄まで響くような快感には抗えない。
早々に前立腺を穿ち、あいつがしてくれたように、好きなところばかりを責める。
ベッドに深くもたれ掛かり、M字に大きく開いた股の間から手を入れて激しく抜き差しすれば、指が内壁を擦る感覚に没頭する。
『っあぅ、もっと、太いの、ほしぃ……っ』
『……いいの? そんなこと言って。彼氏に怒られちゃうよ』
『いいっ、いいから……、も、我慢できな……ッ』
真っ白なベッドに寝転び、はしたなくも魅惑的に足を開いたネコのとろけた様子に、笑みを浮かべてあいつが前を寛げる。
ぽろりと飛び出す勃起した自身。
白いスモークのようなモザイクのせいでシルエットしか窺えないが、俺はあれを一度だけ、生で見て、口内へ迎え入れたことがある。
腕を伸ばして剛直を待ち望むネコの足を抱え、先端を入り口に擦りつけ、ゆっくり、正常位で、覆い被さっていく。
なんて、目が眩むような光景だ。
ともだちにシェアしよう!