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4 二間荘司という男
二間 荘司(フタマ ソウシ)30歳。
仕事ができ、後輩の面倒見もいい先輩だ。
186cmという長身で、誰が見てもうっとりするようなイケメン。
声も低く、電話をすると相手の女性はいつもゾクゾクしてしまうらしい…
そんな彼はなぜか独身だ。
いや、まぁ晩婚化が進む世の中、30歳なのだからまだまだこれからだと思わなくもないが、それも勿体無いと思うほどによくできた人間で、女性社員やお客様からの信頼も厚い。
なんでも女性社員やお客様からのアプローチがすごいらしいが、それもすべて断っているとのこと…。
『ほう…で、お前はどうすんの?』
『どうすんの?ってどういう意味ですか?』
『そっちの世界に行くの?』
『行きませんよ!!』
たまたま休憩が一緒になり二間さんと昼食を食べることになった。
そこで支店長に言われたことを話すと、二間さんがその話に食いついた。
『あっ…美味そ。一個ちょうだい。』
そう言いながら、俺の弁当の玉子焼きをひょいっと箸で持ち上げる。
『どうぞ。』
『ウマッ!!俺、鈴木が嫁さんならいいな…って思うわ。』
『二間さんまで何言ってんですか!?』
『いや、本当に。こんな弁当毎日作ってくれんだろ?めっちゃいいじゃん。』
『そういうことですか…。たまになら作りましょうか?』
『マジ!?俺金払うわ!!』
『そんなのいりませんよ!!気が向いた時だけだし。』
『マジかぁ…。嬉しすぎるかも。』
弁当一つでこの人はこんなにも喜べるのか…と隣ではしゃいでいる二間さんを見る。
『もし作れる日があればその日の朝からメールでも入れますよ。』
『うお!!サンキュー!!』
『じゃぁ俺先に戻ります。』
弁当箱をロッカーに片付け自席の窓口へと戻る。
いいよな…後方担当は。
昼ゆっくりできんだもん。
『お昼お先でした。』
『はぁい。』
そう言いながら、隣の窓口の女性社員は昼休憩へと席を立った。
電話が鳴り、手も空いていたので受話器を取る。
『ありがとうございます。ーー銀行ーー支店、窓口担当鈴木でございます。…はい。一ノ瀬ですね、少々お待ちください。』
保留を押し、受話器を置く。
厄介な人宛の電話を取ってしまったなぁ…と溜息をついてから後ろを振り返る。
『一ノ瀬支店長、1番にお電話です。』
『ありがとう。』
そう言うなり、支店長がウィンクをする。
うっ…
ってか、この前のアレ本気なのかな…
BARでのやり取りを思い出し、背筋がゾクリとした。
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