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『あの…今日はありがとうございました。』
『いえいえ、どういたしまして。』
仕事を終え、二人で夜道を歩く。
支店長は最後まで待っていたものの、さすがに二間さんがいる前では何もできなかったのか、戸締りを終えると帰って行った。
『明日、お礼に弁当作りますよ!!』
『えっ?マジ!?』
『はい…。そんなお礼しかできませんけど…』
『充分充分!!ってか、めちゃくちゃ嬉しい!!!』
またこの人は弁当一つで…
柄にもなく飛び跳ねて喜んでいる姿がなんだか可愛く見えて…
…って、おい待て。
可愛いってなんだよ。
あーダメだ。
支店長に変なことを言われてから、俺の思考はどうかしている。
これこそ恐ろしき一ノ瀬マジックなのだろうか?
『んじゃまた明日。』
『ありがとうございました。また明日。』
互いの別れ道で挨拶をすると、俺たちは別れた。
さて、明日は弁当作るって言っちゃったし、なんか材料買って帰るかな。
こんな時間だからスーパーは閉まってるしな…
そう思いコンビニに行く。
今しのコンビニはすごい。
スーパー並みに食材が並べられていて、こんな時間の買い物には持ってこいで便利だ。
簡単に言っちゃったものの…
誰かに弁当を作るとなると緊張するもんだな。
なぜだか食材を選ぶ手にも力が入る。
今思ったんだけど、弁当作ってあげるって恋び…
いや、だから思考が変だって。
落ち着け自分。
俺はノーマルだ。
うっし!!
帰ったらAV見よ。
それで自分が落ち着くと思っているのか、自分で考えながら笑けてきた。
『ありがとうございましたー。』
買い物を終え、俺は家路へとついた。
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