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『戻りましたぁ。』
隣の窓口の女性社員が昼休憩から戻り、俺は溜息をつく。
このまま無視しちゃってもいいかなぁ…
机の上の書類を整理しながら考える。
『鈴木君。支店長が会議室に来いって。』
『えぇっ!?』
『私が戻ったら鈴木君にそう伝えるように頼まれたの。いってらっしゃぁい。』
そう言いながら女性社員が俺に手を振る。
マジか…
渋々立ち上がり、俺は会議室へと向かった。
コンコン
『はい。』
『鈴木です。』
『おう、入れ。』
ガチャリと扉を開けると支店長が椅子に座りながら片肘をついていた。
『なんでしょうか?』
『ちょっと座って。』
なんだよ…
ドキドキとしながら椅子に腰掛けた。
『遠いな。ココ。』
そう言って支店長が自分の座っている椅子の隣の椅子を叩いた。
『えっ?』
『早く。』
そう言われ俺は渋々立ち上がると、支店長の隣の椅子に腰掛けた。
『なぁ、二間ってお前のこと好きなの?』
『は?』
『いや、そんな感じがしたから。』
『まさか。』
『なんか言われてない?』
『特に何も…』
『調べる必要があるな。』
『何をですか!?』
『あいつがゲイかどうか。』
『ちょっと!!みんなをゲイにするのはどうかと…』
『いや、あながち間違ってはいないかもしれないぞ?』
ニヤリと怪しく笑う支店長が怖い。
『で、お前はこっちにくる気になった?というか、俺の物になる?』
『俺は物ではありません。』
『すまんすまん。俺の男になる?』
『なりません。』
『なったら給料アップ。』
『それ、パワハラですよ。』
『パワハラ上等。どう?』
『なりません。』
『やっぱ昨日二間に邪魔されたからなぁ…まだ落ちないか。今日も残業する?』
なんだこの人…
本気で言ってんのか?
『しません!!!』
予定…というか、願望だけど…
『そ。まぁ、残業するなら俺も残るから。』
そう言うと、支店長は立ち上がり俺の頭をポンッと叩いて会議室を出て行った。
なんだよあの人…
結構恐ろしいセリフを吐いてたと思うんだけど…
ダメダメ。
考えるだけあの人の思う壺だ。
と、頭を横に振り変な考えを吹き飛ばすと俺も自席へと戻った。
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