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『鈴木。』 『なんでしょう?』 『まだか?』 『まだですね…。支店長、先に帰っていただいても…』 『いや、待ってる。』 だーかーら。 なんで待ってんだよ!! もう…ほんと泣きたい。 結局三好が帰ってからも俺はかれこれ一時間以上の残業に追われていて、他の人たちはみんな帰ってしまった。 今日は二間さんも用があるとか言って帰っちゃったしな… って、毎日毎日頼めるわけねぇじゃん。 甘えてばっかいられないしな。 それにしても、あの人本気か? 俺を待ってどうするつもりだ? 俺、襲われる…とか? く…喰われる? な、ないない。 絶対ない。 顔からサーッと血の気が引いて行くのがわかった。 仕事仕事。 目の前の仕事を終わらせるのが先だと、最後の書類に手をつける。 『はぁ…終わった…』 『鈴木、終わったのか?』 『あ…は、はい!!!お待たせしました!!』 いや、だから待っててくれって頼んでないし。 『よし、じゃぁ帰ろう。』 『はい…』 荷物をまとめて支店長の後に続いて外に出た。 『二間?お前何してるんだ?』 『二間さん!?』 そこには携帯をいじっている二間さんがいた。 『いや、ちょっと鈴木に用があって。』 『なんの?』 『ちょっと…』 『悪いが、鈴木は今から俺とメシだ。』 『えぇっ!?そんなの聞いてませんけど!!!』 『俺が今決めた。』 なんちゅう強引な人だ… と、いうか…二間さんの用ってなんだろ? 『二間さん?俺に用って…』 『携帯にメール送ったんだけどな…』 そう言われ携帯のメールBOXを開く。 《残業お疲れ。今日も心配だから外で待ってる。》 二間さん… なんていい人なんだ。 支店長のことをこの人に相談してよかったな…と心から思った。 『鈴木。行くぞ。』 『い、いや、俺、この後予定が…』 『予定?』 『ふ、二間さんに仕事の相談をすることになってたんですよね…』 『そんなの俺にすればいいだろう?』 『いや、支店長には恐れ多くてそんな相談なんて…』 『ということなんで、支店長。鈴木借ります。』 そう言うと、二間さんが俺の腕を掴んでグイグイ引っ張りながら歩き出す。 『し、失礼します!!!』 機嫌の悪そうな支店長に頭を下げ、二間さんの後に続いた。

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