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『鈴木。まだ終わらんか?』
『すみません…まだ…』
『わかった。』
また残業。
そしてまた支店長が待っている。
だけど今日は二間さんもいて…
約束通り残ってくれているのか、自分の仕事が終わらないのかその辺はわからない。
だけど、支店長と二人きりではないのがなんだか安心する。
『二間、お前はまだか?』
『俺も、もう少しかかります。』
『そうか。』
なんだか不機嫌な支店長の返事にドキリとする。
もしも二人きりになったら…どういうことになるのだろう?
逆に気になりつつある自分に焦る。
いや、男同士って何をするのか…とか…ただそれだけが気になるというかなんというか。
支店長が気になるわけではないけれど…
二間さんもなんか色々知ってそうだったしな…
俺は世間知らずすぎるのだろうか?
『鈴木、あとどのくらいかかりそう?』
後ろから二間さんに話しかけられた。
『あ…あと、30分ぐらいで片付くかと…』
『俺もそれぐらい。頑張ろう。』
そう言って二間さんがペロッと舌を出した。
あ…やっぱり俺のために残ってくれてたんだ。
そう思うとなんだか嬉しくて、いい先輩だなぁ…と感動する。
机の上が片付き、俺は立ち上がった。
『すみません。終わりました。』
『よし!!帰ろう。』
支店長が立ち上がるのと同時に二間さんも立ち上がる。
『お前も帰るのか?』
『ちょうど終わったんで。』
『そうか。今日は鈴木借りるぞ。』
『えっ!?』
支店長の言葉に俺は驚いて固まる。
『メシですか?』
二間さんが聞く。
『それもあるが、少し話がある。じゃ、お疲れ。』
そう言うと、支店長が外に出て行った。
『鈴木、どうすんだよ?』
『どうするって…どうしましょう…』
『今日は逃げられないっぽいぞ?』
『えぇっ!?』
『何かあったら俺に電話しろ。すぐに行くから。』
『二間さん…』
『よし!!気抜くなよ!!』
『はい…』
少し泣きそうになりながら俺は外に出た。
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