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あれから何日か経った。
相変わらず支店長からのお誘いはすごい。
そして、それに対抗するかのような二間さんの誘い。
毎日の残業は仕事もキツかったが、それよりも空気が重かった。
二間さんには正々堂々と支店長と戦いたいから弁当はもういいと言われた。
いや、弁当がうんぬんとかいうより、俺の選択肢はこの二人のどっちかしかないわけ?
だから俺ノーマルなんです…
とは言い出せず、二人がただただ重い空気でやり合うのを見ていることしかできなかった。
『あの…残業終わったんで、俺帰ります。』
『俺も帰る。』
『俺も。』
支店長と二間さん二人が立ち上がり、またしても重い空気になった。
『よかったぁ!!開いてた!!』
裏口からそんな声が聞こえ、目を向けると三好が立っていた。
『どうした?』
三好が助け舟のように見え、俺は声をかける。
『携帯忘れたんですよね…』
『それは大変だったな!!』
そう言いながら三好に近付き助けを求める。
『ん?なんかありました?』
空気を読んだ三好が言う。
『別に。』
支店長が不機嫌そうに言い、二間さんも頷いた。
『あっ!!そうだ!!鈴木さん、今からメシ行きません?』
『メシ?』
『携帯取りに来たついでにラーメン食べて帰ろうかと思ってたんで、どうですか?』
ここから逃げるには、これに乗っかるしかないと、三好の言葉に頷いた。
『ヤッター!!じゃぁ行きましょ!!』
嬉しそうにはしゃぐ三好と、不機嫌そうな顔をしている残された二人。
『お、お先です…』
勝手に修羅場と化した部屋に別れを告げ、俺は三好とラーメン屋に向かった。
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