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仕事が終わり、荷物をまとめて裏口に向かう。 『鈴木さん!!』 『三好?』 ラーメン屋で待ち合わせのはずなのに、外に出ると三好がいて驚いた。 『心配で来ちゃいました。』 『心配?』 『はい…支店長とか二間さんに何かされてるんじゃないかと思って…』 『ないない。あの二人はなんか無理矢理は嫌いだからって…俺が好きって言うまで手は出してこないらしいよ?』 笑い交じりに言うと三好が険しい顔をした。 『鈴木さんは、二人のことどう思ってるんですか?』 『どうって?』 『好き…ですか?』 『好きだけど…そういう意味でじゃないよ?』 『俺は…?』 不安そうな顔で俺に問う三好がなんだか可愛い。 ほんとペットにしたいかも…デカイけど… 『三好も好きだよ。でも、今は後輩としてだけど…』 『それはいつか恋愛感情に変わりますか?』 『わかんない。だって俺ノーマルだもん。』 『そっか…俺、頑張らなきゃ…』 『何を?』 『鈴木さんに振り向いてもらえるように…』 なんだか三好のその一言がすごくおもしろかった。 そして心に響いて… こいつのことも真剣に考えないといけないと思った。 『早くラーメン食いに行こ!!』 『そうっすね!!腹減った〜』 笑いながら二人で歩く。 それがなんだか楽しくて… この気持ちがどういう意味なのか俺にはわからないけど、とにかく二人の時間は楽しかった。 『鈴木さん、ラーメンもいいですけど、今度飲みに行きませんか?』 ズルズルとラーメンをすすりながら三好が言う。 『あれ?三好飲めたっけ?』 『一応飲めるんですけど、酒強い人に絡まれるとキツイんで、無理なフリしてんですよ。』 『なるほどな…』 こいつこの前から思ってたけど、結構頭いいのか? よく考えているというかなんというか… 『いいよ。飲みに行くか。』 『いつにしますか?』 『んー。今日日にち決めるの?』 『はい!!社交辞令は嫌いなんで!!』 ハッキリしてんなー。 この前の弁当の時もだったけど、少し強引な一面になんだか心惹かれる。 『じゃぁ今度の金曜日は?仕事終わりに…どう?』 『了解しました!!俺、それ楽しみに仕事頑張りますね!!』 ニッと笑う三好が可愛い。 甘々フェイスで、女の子にモテモテのはずなのになんで俺なのかなー? そう言えば、支店長も二間さんもイケメンだし… なんで俺なのか不思議でたまらない。 というか…みんな趣味悪い…苦笑 その日は結局三好の押しに負け奢ってもらうことになり、俺たちは別れた。

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