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家に着き時計を見る。
時刻は23時半を廻っていた。
五反田様に予定を聞かれていたことを思い出し、手帳を開いた。
明日の日付の部分は真っ白で、特に予定は入っていなかった。
電話をする約束になっていたが、時間も時間だし…と迷う。
『うわっ!!!』
すると、いきなり携帯が震えた。
画面には先程登録した五反田様の文字。
『も、もしもし…』
「あっ!鈴木君…ごめん、まだ友達といる?」
『い、いえ…今帰ってきたところで…』
「本当!?よかったぁ。明日どうだった?」
『あ…空いてます…』
「おぉー!!じゃぁ明日晩飯どう?」
『…はい。』
「じゃぁ18時に○○駅で!!おやすみ!!」
電話は強引に切れ、俺は呆然として携帯を置いた。
明日の五反田様との約束よりも、頭の中は4人のことでいっぱいだ。
一ノ瀬支店長に、二間さん。
三好に、健太郎…
なんだこれ。
本当意味がわからない。
みんな返事はすぐでなくてもいいと言うが、俺はどうすればいいのだろう?
みんなのことは嫌いではない。
どちらかというと好きだ…
だけどその好きは恋愛感情のものではないことはわかっていて…
これがふと恋愛感情に変わる時が来るのだろうか?
三好と健太郎は、俺にそういう感情を抱いた時、確かめるために俺を想像してヌケるか試したらしい…
そんなこと俺にはできなくて、正直どうすればいいのかわからない。
そもそもみんな本当にどうかしてる。
なんで俺なんだよ…
きっと女にモテモテであろうイケメンの4人がなぜ俺なんだ…
頭の中で4人がグルグルと回って離れない。
『頭いたッ…』
飲み慣れないワインのせいもあってか、頭も痛くなってきた。
明日は夕方まで寝ようと決め、俺は眠りについた。
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