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『んっ!?』 唇を押し当てた瞬間に後頭部をガッシリと固定された。 強引に唇の間を割って入ってきた支店長の舌が俺の舌を絡め取る。 『ん…ふ……』 上顎を擦るように舌が這い、歯列をなぞられると声が漏れる。 ねっとりとした舌は動きを止めることなく俺の口内を貪る。 最後にクチュッと俺の舌を吸って、支店長の唇は離れた。 『ハァ…ハァ…』 肩で呼吸を整えながら、口の端から漏れた唾液を手の甲で拭った。 『どうだった?』 『どうだったって、俺の上手さを見るって…』 『あ…そうだったなぁ。じゃぁまた今度見せてもらうよ。』 そう言って支店長は会議室を出て行ってしまった。 今のは何だったのだろうか…? 完全に翻弄されてしまった。 支店長のキスに… 強引に唇を割って入ってきた舌は柔らかくて、熱くて… 今のキスで溶けてしまいそうだった。 五反田さんも二間さんも二人ともすごくキスが上手いと思ったけれど、支店長のキスはそれ以上かもしれない。 短時間で骨抜きにされた俺は、なかなか会議室を出ることができなかった。 『そろそろやべぇな…』 時計を見て立ち上がる。 結局支店長が出て行ってから30分ほどボーッとしていた。 体が熱い。 キスをしただけなのに全身が疼いて… どんな顔をして席へと戻ればいいのだろうか? 会議室を出てトイレに立ち寄り鏡を見ると、とんでもない顔をしていた。 『なんて顔してんだよ…』 目には涙が溜まり、うっすらと頬は赤く、上気した顔。 30分もボーッとしてたのに治まらないなんて…相当だよ。 顔を洗って気合いを入れると、席へと戻ったのだった。

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