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第21話

20になったからええ機会やおもて、地元から離れて東京に引っ越してきたんはええけど、あんま楽しそうな所やなかった。 ビルは無駄に高いし、空気は綺麗ちゃうし。 外を歩いとってもケバい女に絡まれるし。 なんやねん、ホンマ。 香水くっさいねん。しかも無駄に甘い声出して話しかけてきよる。アホなんちゃうか。 俺がαやからか知らんけどいつも変に人が周りに集ってくる。 地元離れるんやなかったなぁ〜。 そう思ってた時やった。 ブラブラ歩いとったら辛そうにしてる男がおった。 ……一瞬でΩやってわかった。 しかも、今まで嗅いだことのないΩの匂いや。 俺の心臓が跳ねる音。初めて聞いた。 「おもろいやん…。」 多分、その男に俺の呟きは聞こえへんかったと思う。 でも、この男、真琴と言うらしいが、こいつに番がおるって聞いた時に、俺は確信した。 こいつは、俺の運命の番やって。 それから変なオッサンが切れながら真琴を連れていった。なんやねん、あいつ。気に食わん。 多分、番やろ。 そうはわかってた。 俺は面倒事が嫌いやから、やっぱ真琴はやめよかな。 別に運命の番らあんま興味ないし…。 そうも思った。 けど、知らん内に体が動いとった。 オッサンに啖呵切って真琴を俺の部屋に連れ戻しとった。 なんやねん、今日の俺…。

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