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第29話

「ンァ...、ンッ、フゥッ...ンンッ!!」 どんどん水を奥へ、奥へと、押し込んでくる。 くっ、苦しいッ...!! どんっ!と。鮫島の胸を押し、ようやく長い口移しから解放された。 「なんで水なんか口移しするんだよっ!喉なんて乾いてなかったのにっ!!」 あぁ...もうっ! 恥ずかしさから、顔が火照る...。 「ふふっ、ただの水なんか口移しするわけないやん。」 鮫島が楽しそうにニタニタと笑う。 「はぁっ?じゃあ何飲ませ、たん...だ、よ......。」 なんだ...? 意識が朦朧とする。 あれ...?瞼が勝手に閉じてく...る... 体が...重い...、立ってられない...。 「.........、おやすみ。俺の大切な運命の番。傷つけたりせんよ。せっかく見つかったんや。俺かてアンタのこと大事にしたいわ。ゆっくり休めばええよ。」 んん...。鮫島がなにかを言ってくれたような気がする... でも、意識が遠くて何も聞こえなかった。 ...、鮫島には悪いことしたな...。 結局、いま俺の頭の中は真咲のことでいっぱいだ。鮫島に抱かれそうになっても、意識が朦朧としても。 真咲はいま浮気してるのかなとか、俺を心配して泣いてくれてるかなとか。 意識が途絶える寸前まで、俺は真咲のことしか頭にないんだ。

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