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第32話
「なんで俺以外の奴の前で無防備に寝るんだ!そんなにヤりたいのか!?あぁっ!?」
「な、んで…そんなこと言うんだよッ!俺は…真咲が好きで…ッ、好きなのに…!浮気してるのは真咲だろ!?なんで真咲にそんなこと言われなきゃいけないんだよ!」
声はすごい震えてるし、目からは涙も零れてる。
真咲に反抗するなんて俺にとっては今まで無いことだった。
いつだって真咲の浮気は見て見ぬ振りをした。
喧嘩になって番を切られるのも嫌だし、なにより俺をきっと1番好きで居てくれてると思っていたから。
『真咲なんて…、俺のこと好きじゃないんだろ!?嫌いだから浮気して嫌がらせするんだろ!?切ればいいよ、俺との番なんて!ねぇ…、切ってよ!!!』
嘘だよ、切りたくない。
切りたくないよ、まだ俺の番でいて。
「切りたくない」って、「切らない」って言ってよ、真咲…。
『切らない。絶対切らない。真琴が泣いて嫌だって言っても、離さない。なんで「番を切れ」なんて言うんだよ…、真琴。俺もこんなに真琴が好きなのに…。どうして俺から離れようとするんだよ。』
「〜〜〜〜ッ!!好きなんて…言うなよ。ばかぁ…ッ!」
やっぱり好きだ。
俺の待ってる言葉をくれる真咲が大好きだ。
ほら、これだから『離れられない』。
番って関係だからじゃない。俺が真咲から離れたくないし、離れられないんだ。
「ねぇ、真琴。今すぐ真琴を抱きたい。俺のものって実感したい。お願いだ…。」
そんなの断れるわけない。
断る理由がない。
「うん。いいよ。俺も真咲のものだって、実感したい…。」
次の瞬間、きつく俺を抱きしめてくれる真咲に俺は「愛してる」の意を込めて、キスをした。
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