37 / 61

第37話

「なー、どこいくんだよ。」 「んー?なーいしょ。だって逃げられたら嫌やもん。」 俺に逃げられるような所に行くのかよ、コイツは…。 「とりあえずまぁ、乗って?」 「えーと。お前車の免許持ってるんだ…。」 意外…。 こんな奴、俺の想像では…。 「女引っ掛けて運転させてそうやった?」 思っていた事をそのまま当てられた。 「うん、結構マジの方でそう思ってた。」 「失礼やなぁー、俺かて運転くらい自分でするわ。まぁ、ええけど。ほら、はよ乗りや」 乗れって言われてもどこに…。 迷った末、俺は後部座席を選んだ、が。 「なんでやねん。」 関西人のツッコミ。 それより俺は何処にツッコミを入れられたのか。 「えーと…。なんか間違えた?」 「あたり前やアホ。なんで2人やのに後部座席やねん。普通は助手席やろ。」 「アホじゃないし…。」 助手席……。なんか嫌だなぁ。 ちゃんと薬を持ったか確認してから俺は助手席に乗り直した。 「まぁ、着くまで寝とればええよ。朝起きてから泣いたんか知らんけど目真っ赤やで。」 「ッ!はっ!?なっ、泣いてないし!」 恥ずかしい…ッ、泣いてたことバレるなんて…! 「冗談やって。まぁ充血しとるだけやから寝不足なんやろ?それなら我慢せずに寝ろよ。なんも変な事せんから。」 ケラケラ笑いながらこう返してくる鮫島は、優しいのか優しくないのかやっぱりわからない。

ともだちにシェアしよう!