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第39話
「あ、ちょっと待ってて」
「え?なんで?」
「まぁええから。そこのベンチ座っとって」
「ん、わかった」
鮫島が何処かへ行ってしまったのでベンチに腰掛ける。
今日は本当に楽しいなぁ…。
……真咲とも、昔はこんな感じだったな。2人ですっごくはしゃいで、満面の笑み浮かべて。
この世で自分たちが1番幸せなんじゃないかって位の気持ちで。
「変わっちゃったな、俺も、真咲も…」
きっと、このまま鮫島といれば真咲が必要ないと思う日が来るかもしれない。
もう番じゃなくてもいいと思う日が、来るかもしれない。いや、きっとくるだろう。
それでも、もしもそんな日が来るのなら、その時までは真咲ただ1人を愛したいと思う俺は、やはりダメな人間なんだろう。
「まこー。どしたん、ぼーっとして。」
「えっ、いや、なんでもない…。」
「そ?とりあえず、ハイこれ。」
はい、と渡されたのは甘い香りのクレープ。
「わぁ、クレープだ…。俺、甘いの好きなんだぁ…。」
「そか、良かったわ。嫌いって言われたら俺2つ食べやなあかんとこやったもん。」
「食べていい?食べていい?」
「ははっ!そんなん聞かんでも食べてええよ、ほんまにおもろいなぁ、まこは。」
〜〜~~~ッ!!
楽しそうに笑う鮫島。
それを見たら何故か顔が火照ってしまった。
「なんか顔赤いで?熱あんの?」
「~~~ッ、なんでもない!いただきまーす!」
恥ずかしさを誤魔化すようにクレープを口に運ぶ。
「わぁ、!美味しいぃぃ〜…っ!」
口いっぱいに広がるクレープの甘い香り。
「あ、まこ。ちょいこっち向いて。」
こっちを向いてと言われ、振り向くと。
「~~~ッ!?!? 何してんだよ!こんなところで!ばか…ッ!」
「んー?そんなに怒らんでもええやん。ちょっとほっぺのクリーム舐め取ったくらいで大袈裟やなぁ。」
俺の頬に付いていたクリームを舐め取った鮫島。
そして動揺しまくる俺。
周りから見たら絶対変なヤツらだ…。
本当になんでこんなこと恥ずかしげも無くサラッと出来るかなぁ。
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