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第49話

「わかった、わかった。もう真咲でもなんでもええから歩いてくれ。帰るぞ。」 「はーい!わかったぁ〜!」 この酔っ払い、ほんまに人の話聞いとんか。 デレデレした顔しやがって、襲うぞ。 「ほら、肩貸しちゃるからさっさと帰るで。」 「うぅん…、真咲ぃ。俺、お姫様抱っこがいい〜。」 「何ゆっとんねん。放って帰るぞアホらし。」 もー、酔っ払いの相手めんどくさいわ。 なんでコンビニ行った帰りにこんな災難にあうねん。 「えへへー、真咲と家に帰ってるよ〜ッ」 「はいはい、そーですね。わーい、やったー。」 とりあえず適当に相手しとけ、明日になったらどうせ忘れてるやろ。 「あのねー、真咲ぃ、俺は浮気じゃないんだよー?千奈美さんと飲んでたのッ!てんちょーだよぉー?ヤキモチ妬いてくれた?ねーねー。」 まこは唐突に誰と飲んでたかを話し出した。 俺は浮気じゃないって…、アホなんかコイツ…。 まるで自分は浮気されてるみたいやないか…って、思ったけどされてたんやな、コイツ。 …………まぁ、まこの為に一肌脱いじゃろか。 「あぁ、妬くに決まってるだろ、俺の可愛い真琴。愛してる。」 出来るだけ関西弁は控えて、こう言った後に、まこの体を引き寄せ、キスをした。 「ンッ、フゥッ…。アッ…。ンァ…。まさ、きぃ…。」 そして、そっと唇を離す。 「このキスは忘れや。真琴。」 「うん、わかったぁ!」 楽しそうに返事をする真琴とは対照的に、俺は少し複雑な気持ちやった。

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