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第50話

(真咲ver.) 夜中の2時頃。ドンドンと誰かが玄関のドアを叩く音がする。 真琴がまだ帰ってきていないこともあるので、きっと真琴だろう。そう思い、玄関の方へ向かった。 「はい、真琴?」 「あー、真咲さんやっけ?この酔っぱらい、何とかしてくれへん?」 ドアの前には真琴の肩を持ち、体を支えてあげている男の姿があった。 確かこいつは…。 「鮫島…錦…。なんでお前…。」 「んぁ?いやぁ、なんか道端に酔っ払って吐きかけとるアホがおるなって思ったらマコやったもんで。お迎えもないみたいやったし連れて帰ってきたんよ。」 「な…ッ! それはすまない。礼を言う。」 吐きかけてたなんて、真琴のやつ、どれだけ飲んだんだ。 しかも、俺に「迎えに来て」という連絡さえない。 頼ってもらえてないのか、迷惑を掛けたくないと思われているのか。気づけなかった自分に嫌気がさした。 それに、いくら俺が鮫島錦を毛嫌いした所で、助けてもらったことに代わりはないので礼をいう。 「別にえーよ。ただ人助けしただけやし。んじゃ、俺は帰らせてもらいますわ。」 「あ、あぁ。悪かったな、真琴が迷惑を掛けて…」 「気にせんとって。そんじゃさいなら〜。」 最後までかったるそうにしていた鮫島錦。 頭を掻きながら隣の、自分の部屋に消えていった。 アイツと一緒だったなんて真琴は…、何もされていないだろうな。 「真咲ぃ…、俺疲れたぁ……」 「うん、わかった。寝ようか。」 …はぁ、変な考えはよそう。 こんなに可愛い真琴を疑うのは、心が痛む。

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