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第57話

ねぇ、真咲。俺は、どうしたらいい…? 泣いて、ここで真咲が帰ってくるまで泣き腫らしたらいい? それとも、笑って、忘れて、自分の気持ちを誤魔化したらいい? 「俺には、わからないよ…ッ。」 隣に転がっている枕を抱えて涙を流す。 悲しいなんてものじゃない。 悔しい、辛い。 どうして俺じゃないんだろう。どうして1番のはずの俺がこんな辛い思いをしているんだろう。 俺の真咲を俺から奪っていくのは誰…? 「俺の…、俺の真咲なのに…っ、…取らないでよ…、俺の真咲を取らないでよ…ッ!」 真咲は、どうして俺が1番みたいな事を言って、結局は俺以外の人を選ぶんだろう。 本当に俺が1番? 疑いたくない、信じたいのに。 「結局、俺は真咲にとって何なんだよ…!」 やっぱり邪魔な番? 面倒くさいオメガ? それとも、ホイホイ付いていく、便利なオメガ? 「捨てないって言ったくせに…っ!」 捨てられる辛さを真咲は知っているのか。 俺が泣いてる今、真咲はどんな顔をして、誰といるのだろうか。 考えるだけで腸が煮えくり返りそうだった。

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