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第9話

「おねが、い…っ!薬、薬を…っ」 「しゃーないなぁ。ほら、ついておいでって。」 警戒なんかしてる場合じゃない。 これは、早く抑制剤を飲まなきゃ大変だ。 「君が名乗ってくれやんくても、俺は名乗っといたるわぁ。俺の名前は『鮫島 錦(サメジマ ニシキ)』。覚えときや。」 そう言って鮫島は俺の腕をつかんで引っ張った。 「んぁっ!だめっ、ちょっと待って…っ!」 気持ちいい。布があちこちに擦れる。 もう、立てない…っ。 俺はその場に座り込んでしまった。 と言ってもまだ道の真ん中。 「はぁ、しゃーないなぁ。これっきりやで。」 「わっ、!!」 そう言うと鮫島は俺をお姫様抱っこした。

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