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閉ざした瞼の上でクスクスと笑う和泉の気配。
目を開くと予想した通りの綺麗な微笑がそこにあった。
薄赤い唇が半月の弧を描いている。
そういえば、俺、まだこの人とキスしていない。
寝起きの雄太は極自然に、緊張に強張ることもなく、すぐ頭上にあった和泉の唇にキスをした。
「っ……」
繋げた唇からダイレクトに伝わってきた過剰な震え。
寝惚け眼でいた雄太はちょっと目を見張らせて和泉を見直した。
「ゆ……雄太君」
和泉は真っ赤になっていた。
セックスのときでさえ然程崩れない表情が不意打ちのキスにみるみる動揺して、落ち着きをなくしていく。
「和泉さん?」
何だろう、そんなにびっくりしたのかな?
上体を起こした雄太はベッドの傍らで硬直している和泉に首を傾げた。
「……早く起きて、時間だから」
我に返った彼は雄太から慌てて顔を背ける。
何だろう、この感じ。
すごくドキドキするというか、ゾクゾクするというか。
耳まで赤い和泉を眺めていたら雄太の胸に悪戯な気持ちが湧いてきた。
気配が伝わらないよう、そっとベッドから立ち上がると……。
「……あっ」
雄太は和泉を背後から抱き締め、突然の抱擁に驚いて振り返った彼にまたキスをした。
「んっ」
覚醒した雄太はディープキスに及んだ。
隙のあった唇の狭間に舌先を滑り込ませて生温い粘膜をぬるりとなぞる。
「ふぁン」
すると和泉は甘い声を上げた。
絶頂時に奏でられる声音よりも艶めいた、上擦った吐息を洩らす。
「ぁ……やめ……っ」
しかも雄太に対して初めて嫌がる素振りを見せたではないか。
それで素直に言うことを聞くレベルの調教にまで至っていなかった雄太は、さらに、彼の口腔をぬちゅぬちゅとまさぐった。
「やぁ……ん、ふ……ぁ……っんぁっ、ぁ……」
珍しく奥手でいる舌先に舌尖を絡め、唾液をぴちゃぴちゃ掻き回す。
角度を変えてもっと深く口づけると和泉は切なげに呻吟した。
「……和泉さん」
離した唇の狭間に唾液の糸が伝う。
彼は、雄太の支えがなければ今にもその場に崩れ落ちそうな様子で双眸を潤ませていた。
「和泉さん、もしかして、キス弱いの?」
雄太の問いかけにビクリと肩が震える。
「唇が一番の性感帯……とか?」
びくびくっ
なーんだ、そうなんだ……。
和泉さんにも弱点があったんだ、ふーん……。
「もしかして今のキスで感じちゃった?」
すでにスーツをきっちり着ていた彼の股間に手をやると、予想した通り、硬い感触。
「や……だ、もう時間……んんっ」
先ほどよりも濃厚なキスを雄太にされて和泉は本当に崩れ落ちた。
床に和泉を組み敷いて人生初の荒々しい口づけを施してやる。
「ぁん、や……っだめ、ぁ……んンンっふぁ……っぁっぁ」
素っ裸のままでいた雄太は弛緩した肢体からスラックスと下着を蔑ろにし、瞬く間に勃起した若いペニスを緩んでいた後孔にズブリと埋めた。
もちろんキスをしたまま。
「んんんぁぁぁっ……ふぁ、ぁぁン、ぁぁ、ぁふ、っん」
これでもかと水音を鳴らして口内を派手に淫らに荒らす。
処理を終えたばかりのアナルの内壁に新たな白濁をビュクビュクと滴らせ、ペニスを傲慢に最奥まで沈め、痙攣じみた激ピストンを。
「ぁん、ぁん、やぁ、ぃやっやぁ……ゆ、うた……く……んっ」
可愛い、和泉さん……。
いつも自分が言われてきた台詞を頭の中で繰り返し、言葉の代わりに、雄太は舌で熱く濡れた愛情を柔らかな唇に思う存分、注いだ。
「んんん!」
下唇に軽く噛みついた瞬間、和泉は雄太の腰に両足をきつく絡みつけ、仰け反った。
下腹部に溢れた精液の感触。
優越感に満たされた雄太は、そのまま、またも和泉の中で絶頂の一瞬を刻んだ……。
「ほら、今日はこれ」
後日、和泉が持ってきたものに雄太は絶句した。
銀色に輝くメタルボディのアナルディルドを手にした和泉は相変わらず綺麗な微笑を湛え、その際どいブツをうっとりと撫でる。
「雄太君のもっと可愛くなる様を見たいから……ね?」
絶対にこの間の仕返しだ。
お、俺だって男だもん、キス攻めで返り討ちにしてやるもんね。
ファンシーなホテルの部屋で向かい合った二人はどす黒い欲望片手に今夜も愛ある痴態を繰り広げるのだった。
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