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2-とある変態美人の夜更かし方

真夜中の成人向け映画館。 スクリーンで男女の濃厚な絡みが流れる中、最後列の隅の席では。 互いに見ず知らずの男が三人、並んで座っていた。 真ん中にはスーツを着た会社員、左右にはラフな格好をした若者。 若者二人の片手は会社員の股間に伸びている。 飢えた手つきでスラックス越しに性器を揉み立てている。 会社員は嫌がるでも怯えるでもなく、むしろ足をさらに開き、煽るように腰を浮かせていて。 そこはハッテンバだった。 ××町××映画館の最後列シートは一夜限り専用の密かなる交流場、なのである。 会社員はベルトを外してファスナーを下ろし、前を寛げると、スクリーンの映像と非常灯がもたらす明かりにそのペニスを浮かび上がらせた。 若者二人の手がこぞって伸びる。 一人は亀頭を集中して撫で回し、一人は竿をしごいたり睾丸をもみもみしたり。 会社員はもどかしげにシートに背中を擦らせた。 大音量の喘ぎ声に微かな声音を紛れ込ませる。 「ん……」 メタルフレームの眼鏡レンズが男女の交歓を反射する。 薄赤い唇は濡れ、艶々とし、生温い吐息を零し続けている。 会社員はおもむろに体勢を変えた。 右側の若者に擦り寄って、しどけなくもたれる。 すると耳に上擦った吐息が。 くちゅくちゅ、ぴちゃぴちゃと、耳の孔を舌先で引っ掻き回される。 股間に触れてみればジーンズを強かに持ち上げる感触。 会社員が掌で強めに摩擦してやれば、焦ったように相手も前を寛げて、綺麗なフォルムをした手を下着の中にまで招いた。 ぬるぬるとした手触りに会社員は淫らに笑む。 下着の中でペニスをしごいてやる。 自身を愛撫する左側の若者の手を上から多い、指に指を絡め、強めに捏ね繰るよう強要する。 「っ……あんた相当な好きモンだな」 右若者に小声で言われて会社員は淫らな笑みを深めた。 姿勢を低くし、ボクサーパンツから取り出したペニスを、微塵の躊躇もなしに頬張る。 映画の効果音に合わせて派手にじゅるるるっと吸い上げたり、勢いよくバウンドフェラしたりと、テクニックに長けた舌遣いで熟れた昂ぶりを可愛がる。 喉奥までの容赦ないディープスロートに右若者は呆気なく果てた。 会社員への愛撫も疎かに、捕らえて離さない唇の中へ射精する。 シートに涎を垂らして虚脱寸前の右若者から、左若者へ、会社員は標的を変える。 はちきれんばかりにジーンズを押し上げていたペニスを解放してやると、くわえ込むなり、怒涛のバキューム。 左若者は一瞬で果ててしまった。 常時持ち歩いているタオルハンカチで二人分の白濁を処理した会社員は唇を拭う。 若者のあまりの呆気なさに萎えてしまった自身を服に仕舞うと、一人、足早に映画館を後にした。 物足りない会社員はハッテンバをハシゴすることにした。 とある錠剤を舌の上で転がしながら次に向かったのは○○町の○○運動公園。 薄暗い園内端のベンチに座れば、わらわらと、まるで誘蛾灯に誘き寄せられた羽虫のように三人やってきた。 「お仕事お疲れ様、リーマンさん?」 体格のいい三人に服を肌蹴られ、一斉に全身を愛撫され、冷えていた体が再び熱もってくる。 錠剤を呑み込む。 スラックスと下着を脱ぎ捨て、革靴に靴下のみという下半身で、三人のペニスを順々にフェラしてやる。 「すげぇな……あんた、プロの人?」 「AV系?」 「お綺麗な顔して、この口、相当えぐいな?」 卑猥な中傷プレイにも慣れっこの会社員、物怖じせずにじゅるじゅるじゅるじゅる、まるで餌を食らうかのようにペニスを深々と頬張った。 「あ、やば……いくっ」 ふと一人が腰をぶるぶるひくつかせたかと思うと、彼に、顔射した。 ねっとりとした精液が滑らかな頬にぶちまけられて下顎へと滴っていく。 生え重なる雑草の上に座り込んだ会社員は、うっすら唇を開くと、下肢にがつんと直結する猥褻な仕草で、ぬるりと白濁を舐め取った。 「もっと、コレ、ほしいな」 そう囁いて淫らに笑んでみせた。 「うぉぉ……っんだよ、これっすげぇっっ」 背面駅弁で会社員を突き上げていた男は悲鳴を上げる。 とんだ好きモン、きっとがばがばに違いないと思いきや、その後孔はきゅうきゅうと亀頭から根元にかけて熱くきつく締めつけてくる。 「いいっっきっきもちいい!!」 無我夢中でずんずん突き上げる。 腕が疲れてくると、雑草の上に四つん這いにさせ、バックで一心不乱にピストンした。 浅く喘いでいた会社員は、目の前に勃起したペニスが翳されると、当然という風にぱっくん口にした。 傲慢イラマチオに息苦しさを覚え、ちょっと眉根を寄せたが、拒絶など一切せずに好きなようにさせてやった。 「ほーら……お口もケツもちんぽ尽くしだよ?」 がつがつ腰を振って喉奥までペニスを突き刺してくる男を、会社員は、上目遣いに見やった。 扇情的な眼差しにイラマ中の男はぞくりとする。 「うぁぁぁ……っだめだめだめだっっこれもぉむりっ、でっ出るうう……!!!!」 尻穴を掘っていた男が悲鳴を上げたかと思うと。 そのまま中出し。 肉粘膜上に満ち溢れてくる白濁飛沫に会社員は「んっ」と色っぽい声を奏で、軽く、口の中のペニスに歯を立てた。 「ひ……!」 絶妙な刺激に男は背筋を痙攣させていってしまった。 びゅるうっと吐き出された青臭い精液を会社員は一端口内に溜め込んだ。 口元に掲げた掌へ舌伝いに滴り落とす。 白く濁った粘液がみるみる掌を満たしていく。 「……こんなに、たっぷり……」 エロ仕草に三人はぐっときた。 射精したばかりのペニスが忽ちむくむくと大きくなる。 まだ射精に至っていないペニスが白く泡立つ尻穴にぬぶんっと突っ込まれた。 太腿を掴んで両足を開かせ、とろとろになった肉粘膜内をフル勃起で突き回す。 会社員のサイドに跪いた他二人。 一人はペニスを握らせ、一人は横向かせた唇に先端を押し込んだ。 会社員はぬるぬると唇奥へ亀頭を導いてやる。 はみはみしながら、シコシコしごき、パンパン突かれた。 「ああああ……っすげ……! ちんぽ蕩けそぉ!!」 恥ずかしげもなく声を上げて男達は会社員の手管にぞっこんとなった。 木立の狭間から息を乱して覗き見る男達もいる。 皆、股間をぱんぱんにしており、中には手コキに耽っている者もいる。 夜気に広がりゆく獣じみた臭気。 荒い息遣い。 紛れもない美人フェイスの会社員は艶然と喘ぎながら、でもどこかしら、一抹の物足りなさを持て余すのだった。 定時過ぎ、仕事帰りの満員電車にて。 人壁に揉まれながらも会社員は一人の少年に視線を寄せていた。 部活帰りなのだろう、スポーツバッグを担ぎ、詰襟の制服は第一ボタンが開かれている。 長身で短い髪。 吊革を悠々と掴み、混み合う車内にて涼しげな顔をしている。 会社員は時折乗り合わせるこの少年に密かに心惹かれていた。 たまに一緒に乗車してくる友達との会話で名前もすでに把握している。 夜な夜な猥褻極まりない性行為に身を委ねながらも、会社員は、淡い恋心を抱いていた。 ……うん、そうだ、今日こそは。 ずっと彼を見つめ続けてきた会社員は心の中でそっと決意する。 勇気を振り絞って。 彼に痴漢しよう。

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