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6-よし、禁欲するぞ
「俺達、会う度にしてますよね」
「そうかな?」
「してます」
「それがどうかしたの、雄太君?」
「俺、もうちょっとこう、普通の一日を和泉さんと過ごしてみたいな~なんて」
「普通って?」
「エロなしの一日です!」
ラブホのベッドで何を言うのかと和泉は苦笑する。
だが年下の可愛い恋人があんまりにも真剣な表情でお願いしてくるので、年上の彼はにこやかに了承してやったのだ。
それから数日後の日曜日。
雄太は前日にレンタルしていたDVDを持って和泉宅にお邪魔した。
「いらっしゃい、どうぞ」
シンプルなルームウェアで雄太を出迎えた和泉。
二人掛けソファに並んで映画を見る。
内容は堀りつ掘られつつのハードゲイもの……ではなく、去年ヒットしたアクション大作だった。
だが何故だろう。
和泉が隣にいるというだけで映画のちょっとした場面、台詞などが、下ネタに思えてしまうのは。
仕舞いには中盤辺りからムラムラムラ……としてきた雄太。
俺、重症だ。
和泉さんと会う度にするのが普通になってたから体が勝手に反応してる。
でも今日の俺は違うんだ。
いつもみたいにケツをどうこうしたりするんじゃなくて、和泉さんと清い一日を普通に過ごすんだ!
その時。
雄太の肩に和泉の頭が落ちてきた。
ぎこちなく視線を下ろしてみると、寝ているわけではなく、和泉は映画をちゃんと鑑賞していた。
二時間の映画鑑賞が何だか拷問のように思えた雄太は、脂汗をかきつつ、和泉に提案した。
「和泉さん、外行こう?」
「あれ、まだDVDあるんじゃなかったの?」
「そ、外に行きましょう」
和泉は別段気にするでもなく雄太の提案を受け入れた。
爽やかな風の吹き渡る外へ出て雄太は内心ほっと一息つく。
密かに昂ぶっていた体に平静が戻ってきて、やっぱり二人きりでいるより公共の場でのんびり過ごそう、なんて思い至った。
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