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12-2
嬉しさよりも驚きが勝った雄太はイスに着席したまま硬直した。
生徒の雄太にぬるぬる口づけながら、和泉は、わざわざ机を乗り越えた。
驚きのあまり反応できずにいる生徒の膝に乗っかってくる。
「ふ……尾上君……」
上擦った声で名前を呼ばれて雄太はやっと反応した。
膝上に乗っかった和泉を夢中で抱きしめてキスに応える。
「ふぁ……せん、せぇ……んっ」
あっという間に雄太の口元は唾液塗れに。
熱烈な口づけにたがが外れて、つい、白衣越しに教師の尻を力いっぱい揉んでしまう。
「ん……っ」
痛いくらいに揉まれた和泉は唇を離して項垂れた。
我に返った雄太は口元をだらだらさせつつ慌てた。
「先生ごめん……っ、俺、嬉しくてつい……」
周章する雄太の視線の先で和泉はそっと顔を上げた。
濡れた唇は艶々と光を帯び、いつにもまして瑞々しい。
湿った双眸は逸らすのも惜しいほどに扇情的だった。
「うん、僕も嬉しいよ」
「え?」
「バスケ部のロッカーから君の汗に濡れたシャツその他を失敬して、いろんな妄想に耽っていたから」
「あの変態ロッカー荒らしって先生だったの?」
「食べ残しのパンも失敬したよ」
「ゴミ箱に捨てたやつ?」
驚きの連続に雄太が目を丸くしていたら、和泉は膝上から机の上へと移動した。
白衣を乱してストライプ柄のスラックスに覆われた足を広げ、顎を引き、上目遣いで雄太を見つめる。
「先生のこと、好きにしていいよ……?」
雄太は思わずごくりと唾を飲んだ。
とかなんとか言っておきながら。
「あぁぁぁ……せっせんせっ……せんせぇっだめぇぇ!」
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