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14-もしも美人痴漢が狐だったら編

稲荷神社で小さな雄太は一人元気に遊び回る。 気がつけばとっぷり日が暮れて、お家へ帰ろうと、境内を後にしようとしたら。 隅っこで何やら動くものがある。 好奇心旺盛な小さな雄太は隅っこへまっしぐらに駆け寄って、びっくりした。 それはそれは綺麗な白狐が茂みの裏に隠れるようにして蹲っていた。 脚に怪我をしている。 山中の罠にかかってしまったのだろう。 「痛そう、きつねさん、だいじょうぶ?」 小さな雄太はぐったりしている狐をなでなでしてやり、名前入りのハンカチを包帯代わりにして、怪我をしている脚に巻いてあげた。 白狐は小さな雄太をじっと見つめていた……。 高校生になった雄太は久し振りに母親の田舎へ遊びにきた。 緑いっぱいの懐かしい風景に夢中になって、涼しくなった夕方、目的もなくあちこち歩き回る。 ふと晴れていた空が翳ったかと思うと。 雨がざぁぁっと降り始めた。 偶々通りがかった稲荷神社、その境内に駆け込んだ雄太は屋根のある社務所前で雨宿りすることにした。 ざぁざぁ降る雨の勢いに思わず見入っていたら。 「狐の嫁入りっていうんだよ」 雄太はびっくりした。 さっきまで誰もいなかったはずの自分のすぐ隣に、いつの間にか人が立っていた。 「ほら、お空は晴れているのに雨が降っているでしょう?」 白っぽい浴衣を着て、眼鏡をかけた、綺麗な顔立ちをした彼は雄太に微笑みかけてくる。 どぎまぎしながらも雄太が頷くと、艶々した唇をさらに綻ばせて彼は言う。 「こういう雨を狐の嫁入り、そう呼ぶんだよ」 「へぇ……初めて知りました」 「だけどなかなか止みそうにないね」 「うん」 「よければ僕の家で雨宿りする?」 雄太はちょっと目を見張らせて彼を改めて見やった。 「僕はイズミ。おいでよ、雄太君?」 あれ、俺、この人に名前言ったっけ? 「僕、あのときの狐だよ、雄太君」

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