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16-もしも美人痴漢が分裂したら編

和泉宅にお邪魔した雄太は絶句した。 「雄太君、僕、分裂しちゃったみたい」 二人の和泉に出迎えられて、びっくりしつつも、とりあえず室内に上がらせてもらう。 飲み物を出してくれた一人の和泉は「いきなり分裂なんて困っちゃうよね」と呑気に微笑しながら肩を竦めている。 もう一人の和泉´はというと。 何故か和泉の背後に隠れていて、肩越しにちらちらと雄太を見つめてきては目が合うと勢いよく顔を逸らし、また、こそっと視線を投げかけてくる。 「あの、和泉さん?」 「何?」 返事をしてくるのは和泉で、和泉´は、やはりささっと隠れてしまう。 雄太は首を傾げた。 そんな雄太に和泉は説明する。 「こっちの僕には、どうも羞恥心なんてものが偏ってるみたい」 恥ずかしそうにしながらも自分をおずおずと見つめてくる和泉´、その見慣れない様が新鮮で、雄太はついそちらばかり目で追ってしまう。 当然、和泉は恋人の目移りにすぐ気がついた。 「雄太君、こっちの僕が気になるの?」 「あっええええっと、その」 変態性が大いに偏った和泉はふふっと微笑を深めた。 「雄太君、面白いもの見せてあげようか?」 意味深な台詞を吐くなり、和泉は、きょとんとする雄太の目の前で。 和泉´にぶちゅっとキスをした。 「!!!!!?????」 いきなりの出来事で雄太が硬直する中、和泉は、嫌がる自分にディープキスをかます。 傍から見ても舌が舌に絡みついているのが見て取れる。 くちゅくちゅと唾液を鳴らして、あっという間に口元がぐしょぐしょになる。 「ん……っ……」 「ふぁっ、っ、ンぅぅ……っ」 なにこれ、和泉さんが和泉さんにちゅーしてる。 えろ過ぎるんですけど。 俺の股間、もうやばいんですけど!? 「ね……どう、面白いでしょ?」 自分の滑らかな頬をべろりと舐め上げて、和泉は、眼鏡越しに色欲たっぷりの流し目で雄太を誘惑する。 自分に抱きつかれた和泉´は真っ赤になって、熱烈なキスにすでに呼吸を乱し、はぁはぁと喘いでいた……。

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