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甘い囁きに誘われるがまま唇同士を重ねる。 幾度となく角度を変えては緩々と開閉させて、舌先を捏ね合わせ、唾液をたっぷり紡ぐ。 「ん……ふぅ……っ……っ……っ」 一番の性感帯である唇への刺激に体どころか脳天までじわじわ刺激されながら、和泉は、リズミカルに揺らめく。 逆上せそうになりながらも雄太はキスを降下させていく。 下あごから首筋へ、鎖骨を過ぎて、胸の突起へ。 「ぁ……ン」 かりっと歯を立てられて和泉は仰け反った。 雄太は乳首を吸い上げつつ、ふと脳内に湧き上がった問いかけを口にしてみた。 「和泉さん……俺達の赤ちゃんが生まれたら……」 「ん……っなに、何か言った……?」 「赤ちゃんが生まれたら、和泉さん、もしかしてミルク出るの?」 胸に顔を寄せ、小さな突起を無邪気に甘噛みしてくる恋人に、和泉は短髪頭を優しく撫でてやりながら上擦った声で答えた。 「出るかも……しれないね」 和泉さんのこの平らなおっぱいからミルクが……。 妙な興奮に頭をやられた雄太は無心で和泉の乳首を吸いまくった。 細腰を固定し、頻りに奥を掻き回すと同時に、忽ちぷっくり腫れ上がった突起に恥ずかしげもなくむしゃぶりつく。 雄太の急な猛攻に和泉は甘い悲鳴を上げた。 「あ……ぁん……そんな、雄太君が赤ちゃんみたい……ぁ……いっちゃうよ……も、だめ……」 雄太の肩にぐっと爪を立てて和泉は達した。 なかの締めつけが一気に増して、雄太は、呻く。 暴れるように肉奥でピストンさせたかと思うと二度目の噴射へ。 「ああぁぁ……!」 いきながら、なかでいかれて、和泉は喉を反らした。 濃さも量も一度目と変わらない、むしろ上回っているような勢いっぷりに、しどけなく表情を解れさせた。 「雄太君の……いっぱい、おなかにきて……っぁ、赤ちゃん……孕んじゃう……」 「んっ……つくって……俺の赤ちゃんつくって……っ和泉さん……!!」 雄太は和泉を押し倒した。 抜けかけたペニスを、また、ぐっと奥に戻す。 射精中でありながら昂ぶったままの熱源を激しく小刻みに突き動かした。 「あぁん……っ、それだめ、ぇ……っ」 「はぁっぁっ和泉さん……ねっまだ……いっぱい出すから……! 俺、和泉さんに……いっぱいいっぱい……出しますからね……っ!!」 「あぁっ、ぁんっ……ゆうたく……ん……」 「俺と和泉さんの赤ちゃん……! ぜったぃ、ぜっっったぃ、かわいいですから……!!」 パパになる気満々の雄太は和泉をママにしようと交わりをさらに深めてきた。 足を持ち上げて肩に引っ掛け、屈曲位にして、シャツを乱す和泉をうっとり見つめつつ猛高速ピストンに励むに励んだ。 かつてないほどの荒々しさ漲る雄太に和泉も釘づけになった。 「うん……っずっと僕のなかで……いってね……? 奥まで、雄太くんの欠片、ちょうだい……?」 雄太のもので奥を突き上げられる振動に身を任せ、波打つ自分の腹に掌を宛がい、汗ばむ和泉は微笑んだ。 怒涛のピストン運動に全神経を傾けていたはずの雄太は、愛しい人の微笑に見惚れて、笑い返した。 「ずっと一緒に……和泉さん……」 ――X年後―― 「あ、尾上! バスケ部の尾上だろ!?」 「あ……うわ、久し振り!!」 街中でかつての同級生と擦れ違った雄太は、足を止め、笑顔で振り返った。 「今度、クラス同窓会するってよ、お前も……って、あれ、ええ!?」 雄太の腕の中でそれは大切そうに抱かれている、可愛らしいベイビーに元同級生はびっくりした。 「尾上、いつの間に!?」 雄太はぽっと頬を赤くする。 ばぶばぶ言うベイビーをあやしながら「待ち合わせてるから」と呆然としている元同級生に赤面笑顔を向け、踵を返した。 待ち合わせ場所にすでに来ていた、仕事帰りでスーツ姿の和泉ママの元へ雄太パパはまっしぐらに向かう。 「和泉さん、仕事お疲れ様です!」

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