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21-とある子供の夏休み日記
8がつ×にち ×ようび
きょうはパパとママとさんにんでどうぶつえんにいきました。
おりのなかでくまさんがくまさんにのっかって、なにやら、こうふんしていました。
「パパ、くまさん、どうしたの?」
「ほら、次の檻に行こう? ほら、早く、ほらほら急いで!!」
「ねぇ、くまさんなにしてるの? あれなにしてるの?」
「ふふ、あれはね、発情期の雄が雌にね――」
「やめてーー! まだこんな小さな我が子に聞かせないで、お願い、和泉さん!!」
せっかくママがおしえてくれそうだったのに、パパがぼくの耳をふさいだから、きこえませんでした。
パパ、ひどい。
なので、家にかえったら、パパがおふろにはいっているときに、ペットのシドをほうりこんであげました。
8がつ×にち ×ようび
きょうはパパとママと三人で海にいきました。
かきごおりをかいにいったママがぎゃるにナンパされていました。
「パパ、ママってもてもてだね」
「そうだね、パパ、時々やきもちやいちゃうよ」
「それ、おいしいの?」
「ううん、世界で一番まずいよ」
こんどは、たこやきをかいにいったパパがまっちょな人にべたべたさわられていました。
「ママ、パパってもてもてだね」
「そうだね、きっといい匂いがするから、タチの悪い虫が寄ってくるんだね、きっと」
ママは笑っていたけどおめめは笑っていませんでした。
家にかえったら、パパがおふろにはいっているときに、ママがペットのシドをほうりこんでいました。
8がつ×にち ×ようび
きょうはパパとママと三人で花火をみにいきました。
その夜、とっても花火がきれいだったので、こうふんして、ねむれませんでした。
そしたら、いながわじゅんじのこわいはなしをおもいだして、こわくなって、パパとママのへやにいきました。
「うわぁぁぁっっ」
「あ、雄太君……」
びっくりしたパパがベッドから落っこちて、ママがしんぱいしていて、二人とも、パジャマをきていませんでした。
「どどどどうしたの、いきなり」
「パパこそどうしたの? なんでパジャマきてないの?」
「う……」
「どうして裸かっていうとね、今からパパとね――」
「やめてーー!!」
8がつ×にち ×ようび
きょうはとくに出かけませんでした。
ごろごろしていたら、パパも、となりでずっとごろごろしました。
「ほら、おいで」
パパはかっこいいです。
なんかたよりないところもあるけど、いつも元気で、いつだってだっこしてくれます。
「ん、ちょっと重たくなった?」
「さっきアイスたべたもん」
「ふーん、そっか」
おなかにのったら、わらって、こちょこちょしてきました。
こちょこちょしかえしたら「やめてー」ともっとわらって、ぎゅっとしてきました。
「二人、兄弟みたいだね」
お仕事からママがかえってきました。
ママはびじんです。
どうしてだかみんなにパパっていわれるけど、ママはママです。
すーつのまま、ママも、ごろんしました。
ママにあたまをなでられて、パパにほっぺたをつんつんされて、なんだかねむくなってきました。
「おかえりなさい、和泉さん」
「ただいま、雄太君」
ぼくがねむったと思って、パパとママは、ちゅっときすしました。
パパとママはなかよしこよし。
ぼく、パパとママ、だいすき。
だから夏休みのしゅくだい、手伝ってね?
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