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23-雄大伯父さんと甥っ子②
三十三歳の雄大は会社の知り合いに誘われて合コンへ行った。
ラグジュアリー感に満ちた、ゆったりのんびりお酒と食事を楽しめるカフェバー、二対二で楽しい時間を過ごした。
「はい、パスタ、どうぞ」
「次の飲み物頼みましょうか?」
丁寧に整えられた爪を彩る控え目なマニキュア、ふんわりした甘い香り、派手じゃないナチュラルメイクは仕事の疲れを癒してくれる。
のだが。
どうしても比べてしまう。
二十代の経理スタッフとあいつを比べるなんて、俺、どうかしてるな。
「尾上さんってもてそうですよね」
「本当に彼女とかいないんですか?」
一般的な平均体型で顔も悪くない、お喋りも可も不可もない、まぁまぁ好印象な雄大。
相手の二人はさり気なくアプローチをかけてくる。
雄大も二人に好印象を抱いており、メールを交換できればいいかな、と考えていたら。
不意に店内がざわついた。
「……え、あの子」
「どうしたんだろ?」
ぶわりと嫌な予感に背筋を舐め上げられた雄大。
向かい側に座る女子二人の言葉にもしやと思い、苦虫を噛み潰したような顔で振り返ってみた。
落ち着いた間接照明に照らされた薄明るいフロアを一人の人物が物怖じせずにやってくる。
店のスタッフじゃない。
客にも見えない。
何故ならば。
「……」
雄大がいるテーブルの真横で彼は足を止めた。
他の誰でもない雄大をじっと見つめ、にっこり、麗しい微笑みを。
「探してたんだよ、パパ?」
ランドセルを背負った美麗なる甥っ子湊は苦虫をごくりと呑み込んだ雄大にそう告げた。
「パパはないだろ、ふざけるな! お前また勝手に人のメール見たな? 弟は何やってんだ!」
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