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26-もしもお菓子をあげない伯父さんに触手シドがイタズラしたら編

「Trick or treat、お菓子をくれなきゃシドがイタズラしちゃうよ」 「ぎゃあああああ!!」 ハロウィンナイト、なんてことはないアパートの一室で一人の男の悲鳴が響き渡った。 凝った仮装をするでもない、黒いパーカーのフードをかぶった全身黒ずくめの甥っ子、湊。 彼は両手に金魚鉢を持っていた。 家で飼育している触手生物、シドから分裂した塊、つまりシドがぷぅかぷぅかと浮いている。 以前、兄のお宅にお邪魔した際、世にもグロテスクなシドを目撃していた雄大の全身にぶわりと拒否反応が出た。 「やっやめろ、それを俺の部屋に入れるな、湊!!」 「どうして? こんなに可愛いのに」 玄関に上がった湊は後ろ手でドアを閉じると、金魚鉢に手を突っ込んで、掌サイズのシドをぽちゃりと取り出した。 明らかにどっくんどっくん脈打っている。 しかも水から取り出したせいなのか。 ただのどぎついピンク色だった塊に触手がにょろにょろ産まれ始めた。 「ぎゃああああ!!」 「わぁ、やっぱり兄弟だね、お父さんの悲鳴とそっくり」 フードを目深に被ったままの湊はぽいっとシドを叔父に放り投げた。 嫌なのに、つい、条件反射でキャッチしてしまう雄大。 長袖シャツの袖口から手首を伝って細い触手がぬるぬると……。 「ひー! あっあれ! 離れない、これ離れないぞ!?」 ついさっき湊が自分に向かって放り投げたように、慌てて壁に向かって放り投げようとした雄大だが、シドは両手にべったり張りついて離れようとしない。 黒ずくめの湊はフード下で天使のように微笑んだ。 「シドはお父さんのことが大好きだから。お父さんと血が繋がってる伯父さんのことも大好きなんだね、きっと」 ヒトデのように蠢くシド、触手だけでなく、本体も袖口の内側へぬるぬる忍び込もうとしている。 本体から細く長く伸びた触手はすでにシャツの下を進んで二の腕から脇、鎖骨や首筋にまで伝い、くすぐったくて気持ち悪くて、しょうがない。 「うわわっ!ひーーー!!」 立っていられずに床の上で悶絶する雄大。 とうとうシドが服の中に完全に入り込んでしまった。 ぬるぬるぬるぬる肌の上を進んでいく。 増えた触手は乳首にまでじゃれついたり、脇腹やおへそをくすぐったり、首筋をれろれろしたり。 雄大は涙目で湊を睨んだ。 「おい、早くこれなんとかしろ!!」 「シドに勃起しちゃいそうですか?」 「……み~な~と~!!!!」 しゃがみこみ、床の上でのた打ち回る雄大を見下ろして、湊は囁く。 「だから、お菓子、くれればいいのに」

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