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「おじさんで悪かったな、せっかくの正月休み、ゆっくりしたいんだよ」 「いいですよ、じゃあ帰ろう?」 混雑する神社からコンビニに寄り道しただけで雄大と湊はすぐに帰宅した。 「ああ、寒ぃ!」 ジャケットやマフラーをちゃんとハンガーにかけてから、ハロゲンヒーターを弱で点け、コタツに潜り込む三十三歳の雄大。 なんてことはない姿に湊はうっとり見惚れる。 「……じろじろ見んなよ」 「ごめんなさい」 「……ちょ、おい、湊」 湊は雄大のすぐ隣に座った。 自分より大きな体に華奢な体をぴったり密着させ、コタツに入る。 「邪魔だって、向こう行けよ」 「ここがいいです」 コンビニで買ってきたホットココアを飲み始め、すっかり落ち着いてしまう。 「ねぇ、伯父さん」 「なんだよ」 「お年玉ください」 「……」 「冗談です」 「こら、俺をなめんな、ちゃんと用意してたんだからな」 「え」 コタツから出るのが億劫な雄大は上体を苦心して捻らせ、後ろの棚からお年玉袋を。 手渡された湊は開封しようとせずに繁々と見つめた。 「見ないのかよ」 湊はすぐ隣に座る雄大を見上げた。 外出で上気していた頬が林檎飴の色に染まり、いつもより健康的な血色のよさ。 母譲りの綺麗で大人びた顔立ちは普段表情に乏しいのだが。 「……嬉しくって」 湊は笑った。 珍しく年齢相応の健やかなる感情表現に雄大はちょっと動じる。 ぷいっと顔を反らし、外出前に淹れて冷め切ったほうじ茶をコーヒーカップからぐびぐび飲んだ。 「しょぼい額でびびるぞ、多分」 「額なんか関係ないもん、伯父さんから貰ったって、それだけで嬉しいです、僕」 そう言って湊はお年玉袋にキスした。

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