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ヒーローな彼
◇◇
高宮さんのハンカチ。紙に書いてくれら綺麗な字の数字たちを何度も見ながらスマホを手にしては電話番号を打っては消しの繰り返し。
次の日。
俺は近くの薬局で、いい匂いの柔軟剤を買ってハンカチを洗濯した。
実家に住んでいる俺は、洗濯機の前でハンカチだけを洗濯している俺を見て、母さんは驚いた顔をしていた。
そんな何か言いたげな母さんを無視し、洗濯したハンカチは柔軟剤のいい香りがする。
ハンカチは洗濯した。あとはこのハンカチを返すために、高宮さんに電話をかけて会う約束をしなければならないのだが。
俺はもう一度スマホを起動し、紙に書かれている電話番号の数字たちをタッチしていく。だが、最後の数字で毎回止まってしまい、結局電話できずに、2週間が経った。
あの時、俺の番号も教えていれば高宮さんの方から電話が掛かってきたかもしれないが、それは後の祭り。高宮さんは俺の番号は知らないから、俺から電話しないといけない。
そんな感じで何回も葛藤しているうちに、朝が昼に昼が夜になっていて1日が終わり、明日しよう明日しようで結局2週間が経過している状態だ。
しかも、明日からは新しい職場での仕事。
幸いにも明日4月2日はまだ生徒たちは春休み期間だということ。
21時。
流石に今はもう電話かけない方がいいか。
明日の準備して寝よう。で、明日、初出勤を終えた夕方に絶対に電話しよう。
俺は起きる時間に目覚ましをかけ、ベットへと入った。
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