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再会は運命的に

 職員室前。  俺は深く深呼吸をした。  まだ、時間的に早いから誰もいないかもしれない。  それでも緊張はする。    俺はもう一度深呼吸をし、「よし」と小さく呟いた。 「あ、もしかして柏木先生?」  ノックして扉を開けようとしていたところに、後ろから話しかけられ肩がビクッとなってしまった。  俺は後ろを振り向き、話しかけてきた人物の姿を見た。  黒色の短髪の男性だった。年齢は俺より少し上の30代ぐらい。  ここの先生だ。 「……あ、初めまして。今日からお世話になります。柏木碧と申します」 「よろしく。江崎透です」  江崎先生はそう言い、右手を前に出し握手を求めてきたので、俺はその手を恐る恐る握った。 「職員室入りましょう。多分まだ誰も来てないと思います」  握手していた手を緩めた江崎先生そう言い、職員室の扉をガラガラと大胆に開けた。 「ほらやっぱり。いつも俺が一番乗りなんですよ」  職員室の中に誰もいないことを確認した江崎先生は、ニカッと歯が出るように笑った。  江崎先生は体育教師っぽいな。  服装も、スーツじゃなくジャージ素材の黒色ズボンに長袖のシャツを着ている。

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