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再会は運命的に

 廊下のちょっと先を歩いている高宮さんの姿を見つけた俺は距離をあけながら後ろをついて行った。  職員室がある校舎の隣の校舎の2階に数学教室はあった。  俺は先に教室の中に入っているだろう高宮さんに向けて、軽く2回ノックをした。  高宮さんの「どうぞ」と言う声を聞き、ゆっくり扉を開けた。  狭い室内。真正面に机と、入口の横に本棚があるだけの部屋。  机の椅子に座っている高宮さんは此方を見ている。 「……あ、あの…あの時は本当にありがとうございました…!」  俺は入ってすぐ、頭を下げた。  あの日助けてくれたお礼をもう一度言ったが、彼から何も反応がない。  俺は不安になり、頭を上げて高宮さんを見た。  高宮さんは、眉が下がり悲しそうな顔ででこちらを見ている。 「………どうしましたか?」  じーっと此方を見ている高宮さん。  その沈黙に耐え切れず、問いかけた。 「俺のこと忘れてるわけではないんだね」 「え?」  忘れてるわけない。というか、3年前からずっと忘れてない。  ま、高宮さんは3年前のことは忘れてるだろうけど――。 「俺いつ電話がかかってくるかなーって片時も離さずスマホ持ち歩いてたんだけど、一向に電話掛かってこないから……」  椅子から立ち上がり此方に近づいてくる。 「もしかして、俺が番号書き間違えて掛からなかった、とか?」 「いや。そうじゃないんですけど……」  緊張して電話が掛けられず、日にちだけが経ってしまったとは言えない。 「じゃあ、俺に会いたくなかった、とか?」  声のトーンが一気に下がった高宮さん。  そんなこと、そんなこと、あるわけない!  俺は思いっきり首を横に振って、その言葉を否定した。  そんな俺を見て一気に笑顔になった高宮さん。

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