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ビールと告白
「あ、柏木先生!……と高宮先生」
高宮さんと一緒に職員室へ入った俺たちに真っ先に気づいた西先生は、テンション高めだ。
「ふたり一緒だったんですね~!」
席へ座ったと同時に、乗り上げて俺たちふたりを見ている西先生。
「はい。学校内を案内してたんですね」
西先生に驚いていた俺の代わりに、高宮さんが落ち着いた声音で言った。
「ふふふ。そうだったんですね」
俺たちふたりを交互に見ながら、先程よりもさらにテンションの上がった西先生。
西先生見た目は大人っぽくて綺麗な人だけど、こんな風にテンションの上がった姿を見ると、普段の西先生と全然違ってびっくり。
「あ、そうだ。柏木先生、授業のこととか色々教えときたいことがあるんですけど、お昼食べたらちょっといいですか?」
テンションが上がっていた西先生の声音が一気に通常に戻ったことに驚きながらも、「大丈夫ですよ」と西先生の目を見ながら答えた。
お昼になり俺は持ってきた弁当を食べた。
その後は西先生に1年生の現代文の教科書を貰い、授業について色々と説明してくれた。
ある程度、説明も終わり、パラパラと教科書を読んでいたところで、机の上に置いていたスマホに新着メッセージを知らせる通知がきたことに気づいた。
メッセージは高宮さんからで『今日の夜、もしよかったらご飯でも』というお誘いの言葉だった。
俺は『ぜひ。お願いします』と返信を打った。
まさか、高宮さんからお誘いのメールがくるとは思わなかった。
ついこの前まで、この人の名前まで知らない状態だったのにな――。
でもやっぱり好きな人とこうやって親しくなれることは嬉しい。
*
「じゃあ、柏木先生お先に失礼します。また来週」
「お疲れ様です。はい。よろしくお願いします」
18時。
机の整理をして、席を立った西先生は俺にそう言い職員室を出ていった。
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