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反則の眼鏡

「あ、そうだ。ここちょっと寄って行くね」  ウィンカーを示し、右側にあった小さなお店に入った。  ピンク色の可愛い外観。 「……ケーキ屋さん?」 「そう。ここのケーキ美味しいから、持っていこうと思って」  そう言いながら、店の前の駐車場に綺麗にバックで停めた高宮さん。 「降りようか」 「はい」  俺たちは車を降り、小さな店の中へと入った。  入ってすぐ、ケーキの並んでいるショーケースがあり、若い男性の店員さんが笑顔で「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。 「……美味しそう…」  ショートケーキやミルフィーユ、チョコケーキなどの定番のケーキの他に、トマトやにんじんを使ったケーキなども並んでいる。 「お母さんたちは何か苦手なものとかあるかな?」 「母は甘いものは好きなので、何でもいいと思いますよ。父は甘すぎないやつなら大丈夫だと思います」  俺の答えをもとに、定番のショートケーキとチーズケーキ、にんじんのケーキを頼んだ高宮さん。 「あ、お金、俺が払います!」  お洒落な黒色の長財布を取り出した千秋さんに、慌てて俺も自分の財布を取り出し、千円札を出した。 「いいよ、いいよ。俺の手土産だし」 「でも……昨日の食事代も出してくれましたよね?」  昨日、酔っていて記憶はあんまりないけど、食事代を自分の財布から出した形跡はないから、恐らく千秋さんが払ってくれたはず。 「気にしなくていいよ」  そう言い俺の出した千円札を返した千秋さん。そのまま、自分の財布からお金を出し、会計を済ませた。

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