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甘々デート
飲食店が所狭しに並んでいるフロアを歩いていると、急に立ち止まった千秋さん。全国チェーンの洋食屋を指差し「ここで食べようか」と言った。
「…ここですか?」
「うん。もし他のところがよかったら言って」
「いや。ここでいいです」
「そう。じゃあ入ろうか」
店内は休日もあって、家族連れがたくさん入っていたが席は空いていた。
お冷を持ってきたウェイトレスさんに、「ありがとう」とお礼を言った千秋さんの笑顔に、頬を染めたウェイトレスさん。
やっぱりみんなこの人に惚れちゃうんだな。
そりゃあ、こんな綺麗な顔の人が笑顔を自分に向けてくれたら惚れちゃうよ。
そんな人が俺の恋人、なんだよな。
ぼーっと考えながら、千秋さんの顔を見ていた俺に微笑みながらメニュー表を見せてきた。
「何食べる?」
「えーと…。じゃあ、このペペロンチーノで」
メニュー表に載っているペペロンチーノの写真を指差した。
そんな俺に頷いた千秋さんは、先ほどお冷を持ってきたウェイトレスさんを呼んで、ペペロンチーノとハンバーグを頼んだ。
向かいの席に座ってる千秋さんが終始にこにこしながら、俺をじーっと見ている。
何も言わずに此方を見ているので気まずい。
「……どうしたんですか?」
俺はその視線に耐えられず、俯いたまま聞いた。
「ううん。ただ、碧の顔を見ていただけ」
甘い声で俺にだけ聞こえる声の大きさでそう呟いた千秋さん。
俺は恥ずかしくなって、一気に真っ赤になった。
俯いていても、耳まで真っ赤なので、そんな俺の姿は千秋さんにも分かったはずだ。
結局、何も言えなかったところに、タイミングよく頼んでいた料理をウェイトレスさんが持ってきたので、早速、ペペロンチーノを食べ始めた。
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