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甘々デート
ペペロンチーノを完食し、真っ赤だった顔も随分と落ち着いてきた。
お冷をを飲みながらこっそり前に座ってる千秋さんの顔を窺った。
千秋さんは優雅にフォークとナイフでハンバーグを切り分けて食べている。
その姿さえも綺麗で、フォーク・ナイフをこんなに綺麗に使える千秋さんのお家はもしかしたら、結構いい所のお坊ちゃまなのかもしれない。
「…うん?」
俺の視線に気づいたのか、首を傾げた千秋さんに「何でもないです」と首を振った。
「もしよかったら、今から映画見ない?」
ハンバーグを食べ終わった千秋さんが、俺を見詰めたまま言った。
「映画ですか?」
「うん。今公開されているのですごく気になっているものがあってね」
千秋さんの気になっている映画は、俺も気になっていたタイトルだったので、3階にある映画館へとやって来た。
今度こそは自分の食事代を出そうと思っていたのに、千秋さんに流され結局払えなかった。
「時間どんな感じだろう」
映画館も賑わっていて、カップルが多かった。
千秋さんは入口に置いてあるタッチパネルで映画の時間を確認し、丁度いいぐらいに15分後に気になっていた映画が上映されるようで、チケットを買いに行った。
俺も慌てて千秋さんの後をついて行き、今度こそお金を出そうとしたが、ここでも結局千秋さんが払った。
「映画代は俺が出したかったのに……」
俺の分のチケットを渡した千秋さんに、小さく呟いた。
その呟きが聞こえたのか、眉を下げ困ったように笑った千秋さん。
「それじゃあ、飲み物は碧に買ってもらおうかなー」
真正面にある、ポップコーンなどの食べ物と飲み物を売っているカウンターを指差した。
「はい!買ってきます。何飲みますか?」
2人分の飲み物代は、今まで千秋さんが出してきたお金より断然少ない額だが、未だ一度もお金を出していない俺は、やっと千秋さんに奢ることができるので、嬉しくなった。
「うーん。それじゃあ、烏龍茶でお願いします」
クスクス笑っている千秋さんに見送られながら、カウンターで飲み物を買いに行った。
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