36 / 132
甘い夜のはじまり
――映画を観終わった後は、モール内に入っているスーパーで買い物し、家へと帰ってきた。
映画の大事なクライマックス部分の内容なんて全然覚えてない。
寝室の広いクローゼットの中に持ってきた服を入れながら、はぁっと息を吐いた。
でも、千秋さんと手を繋げた。見た目によらず、骨ばっていて綺麗な指。それが分かったことが嬉しい。
これからも、千秋さんの知らない部分をいろいろ知りたい。
荷物整理が終わり、千秋さんのいるリビングへ向かうと、キッチンで買ったものの整理をし、今から作る料理を思案している。
「あ、碧、終わったの?」
「はい。今からなんか作るんですか?」
「うん。夜ご飯をと思ったけど、昼が遅かったからあんまりお腹空かないなって思って」
確かに。お昼を食べたのは14時を過ぎていた。
今は18時。まだお腹は空かない。
なんだったら、もう夜は食べなくてもいいかも。
そんな俺の考えが読めたのか、千秋さんは「簡単なおつまみで作って、お酒でも飲みながらのんびり食べようか」と言った。
「俺もなんかお手伝いしましょうか?」
キッチンへ近づいたが、千秋さんは「いいよいいよ」と言い、俺をソファーに座らせた。
ともだちにシェアしよう!