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甘い夜のはじまり

 ――映画を観終わった後は、モール内に入っているスーパーで買い物し、家へと帰ってきた。  映画の大事なクライマックス部分の内容なんて全然覚えてない。  寝室の広いクローゼットの中に持ってきた服を入れながら、はぁっと息を吐いた。  でも、千秋さんと手を繋げた。見た目によらず、骨ばっていて綺麗な指。それが分かったことが嬉しい。  これからも、千秋さんの知らない部分をいろいろ知りたい。  荷物整理が終わり、千秋さんのいるリビングへ向かうと、キッチンで買ったものの整理をし、今から作る料理を思案している。 「あ、碧、終わったの?」 「はい。今からなんか作るんですか?」 「うん。夜ご飯をと思ったけど、昼が遅かったからあんまりお腹空かないなって思って」  確かに。お昼を食べたのは14時を過ぎていた。  今は18時。まだお腹は空かない。  なんだったら、もう夜は食べなくてもいいかも。  そんな俺の考えが読めたのか、千秋さんは「簡単なおつまみで作って、お酒でも飲みながらのんびり食べようか」と言った。 「俺もなんかお手伝いしましょうか?」  キッチンへ近づいたが、千秋さんは「いいよいいよ」と言い、俺をソファーに座らせた。

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