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甘い夜のはじまり

 千秋さんは徐ろに立ち上がると、俺の膝裏に手を差し込み持ち上げた。  所謂、お姫様だっこをされた。 「えっえっ!?千秋さん!?」  不安定で思わず千秋さんの首に腕を回した。  千秋さんの未だに色気を放ったままで、俺に何も言わずに寝室に入り、ベットに俺をゆっくり下ろした。 「…ごめんね。俺もう我慢できない」  千秋さんはそう言い、唇を奪った。  下唇を何度も何度も食み、上唇まで食むようにキスすると、口内に舌を入れてきた。  下の歯の裏から順番に口内を隈なく味わうように舌が動き回り、いきなり俺の舌に軽く歯を当て、吸ってきた。  ……きもちいい。  こんなにもとろけるようなキスは初めて。  頭がぼーっとし、何も考えられない。  座っていることもままならず、体が後ろへ倒れた。  倒れる際、俺の後頭部に手を当て、ゆっくり倒れるように手助けした千秋さん。  やっと唇が離れた。  千秋さんは仰向けに寝ている俺にゆっくり跨る。  千秋さんの顔を下から眺めるってなんか新鮮だなー。とぼーっとした頭で思った。 「何、考えてるの?」  そんな俺に優しく問いかけた千秋さんの顔がギラギラ欲情した瞳で見詰めている。  そんな千秋さんの顔もやっぱりかっこいい。 「ねぇ、今からえっちするけど、いい?」  俺の髪を指先で弄りながら、更に色気を放った千秋さん。  こんな千秋さんの表情は初めて見るし、色気がやけにセクシーで俺は思わず頷いていた。  唇が弧を綺麗に描いた笑みを見せた千秋さん。  俺はそんな千秋さんの顔に触れたくて腕を伸ばしたが、届かない。  そんな俺に微笑み、体を少し倒し千秋さんの顔が近づいたことで、綺麗なミルクティー色の髪に触れられた。

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