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甘い夜のはじまり
俺なんかよりさらさらした髪。
ちょっと癖っ毛で、跳ねている襟足。
ヘーゼル色の瞳に二重の双眸。綺麗に通った鼻筋。真っ赤な唇。
全てがかっこよくて―――
「――好きっ…」
そう呟いた俺に、箍が外れたようにキスをした千秋さん。
たった数分の間に何度もキスをしている。
でも本当に幸せで、俺は一生懸命その唇に答えた。
ちゅっというリップ音とともに離れた唇は唾液で少し光っている。
その唇でさえもやっぱりセクシーで――。
千秋さんはそのまま俺の鼻のてっぺんに、額に、瞼に、睫毛に、頬に順番にキスを落としていく。
そのキスがあまりにも愛おしく優しくするから、ドキドキする。
睫毛にキスなんて初めてされた。
顔の至る所に優しいキスを落とした千秋さんは、俺の右耳の穴にふうーっと息を吹き込んだ。
「……ひゃあっ」
油断していたところに、いきなり息を吹きかけられたことで、体がびくっと跳ねた。
そんな俺ににやりと笑った千秋さん。
そして耳朶をゆっくり舐めた。
「……んっ」
「…かわいい」
囁いた千秋さんは耳の中に舌を入れてきた。
ぴちゃぴちゃと水音が耳の中から聞こえ、何にも言えずに目を瞑った。
やっと舌が耳から離れたと思えば、次は目尻をぺろっと舐めた。
「……っ」
それにも体がビクッと跳ねた。
そのまままたもや、顔中にキスを降り注ぐ千秋さん。
こんなにも、顔中にキスをされたのは初めてだけど、全然嫌じゃない。
唇にもキスを落とし、ゆっくりと下降していく千秋さんの顔。
首筋、鎖骨、と順番にリップ音を鳴らしながら下降していくのが、恥ずかしい。
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