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甘い夜のはじまり
千秋さんは舌を出し、突起に触れそうなところで止まったまま意地悪そうな顔で此方を見ている。
「…どうしてほしい?」
掠れた声で俺を見詰め問いかけた。
俺は首を横に振った。
言えない。言えないよ、舐めて欲しいなんて言えない。
そんな俺の髪を撫でた千秋さん。
「……仕方ない。言って欲しいけど、それはまたの機会に」
千秋さんは突起に顔を近づけ、赤い舌が欲しい刺激を与えた。
「…いやっ、あ…っ……」
生暖かい舌が先ほど指で擦っていた突起の側面を執拗に舐めて、尖端を歯で軽く甘噛み。そして、また舐めるのを繰り返した。
俺は気持ちよすぎてどうにかなりそうで、体を後ろに反らし胸を突き出すような格好になってしまう。
フゥー。
「ひゃあっ…」
舐めて甘噛みしていた突起に急に息を吹きかけてきて、敏感になっている尖端は過敏に反応してしまう。
「乳首、感じやすいんだね」
舐めていない右側の突起を指で擦りながら、微笑んでいる。
「…っ…もっうい…い…」
俺の顔を見ながら執拗に胸の突起を弄る指におかしくなりそうで、怖い。下は触ってもいないのに硬くなっていて恥ずかしい。
そんな俺の喘ぎにも似た高い声をふふっと笑いながら、指は突起を擦ったり、摘んだりを繰り返す。
やっと突起を弄るのを止めた千秋さんは、そのまま顔を近づけ俺の目尻を舐めた。
「……泣いてる…。嫌だった?」
至近距離に眉が下がり、心配そうにしている千秋さん。
そんな顔までもやっぱりかっこよくて――。
「……ううん。気持ちよくて…自分がどうにかなりそうで…」
だって、嫌じゃない。
こんなにも、こんなにも幸せな気持ちで胸がいっぱいだから。
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