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朝から×××

「ちょっとっ!!千秋いるんでしょ!!」  ぼーっとしている頭で聞こえてきた女性の声で、はっと我に返った。  ドンドンと玄関の扉を叩く音。  千秋さんもはぁっと溜息を吐き、俺から離れた。 「ちょっと面倒くさい人が来ちゃった。碧はシャワー浴びておいで、その間に追い返しとくから」  さっきまでの、ギラギラした雄の顔から一変、普段の爽やかで綺麗な顔に戻った千秋さんは、寝室を出て行った。  面倒くさい人。女の人だったよな。  もしかして、元カノ、とか…?  玄関の扉を開けたのか、女性が怒った声音で喋っているのが微かに聞こえる。  そのまま、家の中へと入ってきたのか、はっきりと聞こえてくる女性の声。 「ちょっと、チャイム鳴らしたんだから早く開けてよね。私だって一般人じゃないんだから」 「はいはい。で、どうしたの?」  呆れたように女性に問いかけている千秋さん。  会話を聞いている限り、ふたりが仲がいいことが分かる。  俺はこれ以上、ふたりの会話を聞きたくないので、シャワーを浴びるために起き上がった。

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