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突然の訪問者
見学できるとはいえ、一般の人が撮影現場にいるってのは、あんまりよくないんじゃ…?
返事に困っていた俺の耳元に、素早く近づいた彩さん。
「――実はね、千秋も大学の頃バイトでモデルとかしてたんだよ。千秋がバイトしていた所、見てみたくない?」
耳元で囁いた彩さん。
えぇー!?千秋さんモデルやってたの!?
大学の頃の千秋さんって、どんな感じだったんだろ。
今みたいに大人だったのかな。
それとも、今よりも少し子供っぽかったのかな。
でも、絶対かっこよかったんだろうなー。
「それとね、今日のカメラマンさん千秋を撮っていた人だから、もしかしたらその頃の話とか聞けるかもよ?」
ほんとですか??
モデルをやっていた千秋さんのこと聞ける…。
「――行きたいです!」
「よしっ!」
そんなの行ってみたいに決まってる。
さっきまで思っていた、迷惑になるかな。という気持ちは頭にこれっぽちもなかった。
彩さんは勝ち誇った顔で、千秋さんを見ていて、千秋さんは苦虫を噛み潰したような顔で彩さんを見ていた。
モデルの千秋さんの話が聞けると、嬉しさを噛みしめていたところに、「よしよし。碧くん食べな」と、彩さんはサンドイッチの皿を俺の前に持ってきた。
俺はその皿からハムサンドを手に取った。
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