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モデルの千秋さん

「はぁー」  彩さんが両手を広げて示している方向、入口を見てみると、千秋さんが溜息を吐きながら入ってきた。  ……かっこいい。  白のVネックシャツに上から丈が長めの紺のカーディガンを羽織り、腰には赤のチェックシャツを巻き、細身のスキニーパンツを履いた姿の千秋さん。  千秋さんのミルクティー色の髪は、右側は耳にかけ、前髪は左に流しているセットで、普段の姿よりも少し若く見える。 「これね、千秋がモデルしていた頃、着たことのある服とセットなのよ~」 「そうなんですか?」  いわれてみれば、確かにちょっとお洒落な大学生が着ていそうな服装だ。  でも、そんなファッションでさえも似合ってしまう千秋さん。 「かっこいいでしょ?」 「…はいっ!すごくかっこいいです!」  ぼーっと此方に歩いてくる千秋さんを見詰めていた俺に聞いてきた彩さんに、思ったことをそのまま口に出してしまっていた。 「ふふっ。千秋、碧くんかっこいいってよ!」 「ちょっ、ちょっと彩さんっ!」  俺の思っていたことを千秋さんにも知られてしまい、恥ずかしくなった俺の顔は一気に顔に熱が集まってしまい、耳まで真っ赤になってしまった。 「――碧にかっこいいって思ってもらえたなら、この格好してよかったかな」  綺麗な顔で微笑んだ千秋さん。  やっぱり近くで見ても、かっこいい。 「おぉー!千秋のその感じ久しぶりだなー」  千秋さんに見惚れ、ポーっと見詰めていたところで、千秋さんに気づいた長谷さんが近づいてきた。その後ろから、水野レンも歩いてきている。 「じゃあ早速、撮影するか」    そう声をかけた長谷さんに、千秋さん「…お願いします」と頭を下げ、さっきまで彩さんが立っていた場所に立った。  ……かっこいい。  かっこよすぎる。  カシャカシャとフラッシュ音の度に、ポーズ、表情を変えている千秋さん。  千秋さんなら、モデルとしても十分食べていけそう。  でもバイトから本格的にモデル業をしていたら、同じ職場で再会することもなかったし、そもそもあのスーパーで千秋さんを見かけることもなかったのかも。  それなら、千秋さんが教師でよかったかもなー。

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