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腐女子の独自
西舞花side
ふふふっ。
もう、にやけが止まりません。
どうしたらいいですか。
私は西舞花。
紀陵高校で現国を教えている教師です。
それは、表向きの紹介で、実は私、男性同士の絡みを見るのが大好きな女。
所謂、腐女子ってやつ。
もうさっきの、高宮先生と柏木先生は何なの!?
私がイヤホンをつけてるからって、小声で柏木先生にお昼を誘った高宮先生、大胆すぎるでしょ!!!
イヤホンつけていたからって、必ず音楽を再生してるとは限らないんだがら。
私のイヤホンは無音のまま。=高宮先生が柏木先生を誘った声もバッチリ聞こえたよ!
元々、高宮先生の声は綺麗でいい声なんだけど、さっきのはそれに甘さが加わった声で、とりあえず、この声を耳元で囁かれた時には孕んじゃう!!?っていうぐらいだ。
てか、高宮先生は声優としても絶対いける!!!!
BLCDで攻めとして様々な受けくんたちを啼かしてもいいと思う!
あっ、でも、綺麗な声だから受けでもいけるかも……?
何、高宮先生、無限大すぎる…!!
あぁー、もう私テンション上がりすぎて、自分でも何言ってるかわからない。
でも、腐女子の鋭い観察眼では、あのふたり絶対付き合ってる!
やっと私の職場にも、高宮先生に釣り合うほどの人がやってきたと思えば、次の週にはふたり付き合ってるんだもん。
土日の間にふたりは何があったの!!??
――もう繋がったのか??
でもあの雰囲気は、心も体もふたりは繋がったよね。
ふたりとも一生懸命、職場の同僚を装ってるけど、漂う甘い甘い雰囲気は全然隠されてないからね。
腐女子歴10年以上の女を舐めちゃダメだよーっ!!!
し!か!も!
さっきのホームルーム時間だって――!!!!
2年3組出席番号11番の田中くんが、ぼそっと「柏木先生いい先生っぽそうだなー。挨拶も噛んじゃってたし」と呟いたのに、ギロッと睨んだ高宮先生。
他の生徒にはバレないように、睨んだけど私はこの目でバッチリ見たもんね。
田中くんは、多分何気なく呟いた言葉が、これから卒業するまで後悔するはず。
高宮先生のあの顔は本気の睨みだった。
とりあえず、学級委員長にされ雑用を押し付けられ、数学の成績も勝手に下げそうな勢いで、成績の悪かったお仕置きとして、放課後ふたりっきりの課外授業をして―――
ダメダメ!!!
どうも田中くんが相手では萌えないな…。
シチュエーションは完璧なんだけど、演者がダメだ。
やっぱり、高宮先生の相手は柏木先生がしっくりくる。
って、また話が脱線しっちゃった。
とりあえず、高宮先生は物腰柔らかそうな雰囲気だけど、あれちょっと作ってると思うんだよねー。
物腰柔らかな人物が、自分の愛しい人に興味を持ったようなことを言った田中くんに、露骨に睨んだりするわけがないもん。
まあ、どんな高宮先生だろうとも私にはすごく美味しいのでいいけど!
はぁー。
これからの仕事もっともっと楽しめるぞーっ!!!!
でも、ちょっと我儘言うと、私の周りに腐を語れる友達がいないの!!!!!
これほんと需要なことだと思うんだよね!!!!!!
職場がこんなに、ネタの宝庫なのに、それを語り合う人がいない……。
寂しい。寂しすぎる…。
この萌えを語り合いたいのにな~。
私は人にこれを語れないから、心の中で独り言のようにひたすら萌えを語っている。
たまには、声にしてこれを語りたいよ~~。
もうなに、SNSとかで見つけるしかないのかな。
仕方ないSNSで腐女子仲間を見つけようではないか!!!!
「――ちょっと、西先生!さすがにイヤホンつけるのはやめてください。ここ学校なんですから」
教頭の呆れたような声が聞こえたが、無視だ無視だ。
私は腐女子仲間を見つけないといけないんだから!
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