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お昼は不意打ちキス

「あっ、でも、遠藤くんは千秋さんのあの変わりようにはびっくりしたでしょうね」  驚いていたし、ちょっと怯えてたようにも見えた。 「まぁ仕方ないかな」 「…うん?」 「――だって俺の前で、碧をナンパしたんだから」 「ナンパ!?」  え、あれナンパじゃないと思うけど…。  遠藤くんはただ、勉強を教えてって言っただけだったけど。 「彼は2年。2年の現国を教えるのは西先生なんだから、西先生に頼めばいいのに、わざわざ碧に頼んだだから、ナンパだよ」  いじけた表情の千秋さん。  ――もしかして、千秋さん遠藤くんにヤキモチ妬いた…?  俺はまだいじけた顔をしている千秋さんが可愛くて、クスッと笑ってしまった。 「大丈夫です。もし遠藤くんにまた言われたら、西先生に頼んだほうがいいと言います」 「…いや、遠藤くんをもう碧に近づかないようにさせる」  そう呟いた千秋さんは、チュッと唇に触れるだけのキスをした。  不意打ちすぎて、放心状態の俺に微笑み、「……ほんとは、もうちょっとしたいけど…ここ学校だもんね」と言った千秋さんは、おにぎりを食べ始めた。  …軽く触れただけのお互いの唇は、好みが一緒の卵焼きの味がしました。

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