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涙の雨そして親友の優しさ
バカみたいだ。
勝手に勘違いしてた自分が馬鹿で阿呆で、そんな自分が嫌いだ。
何時間ここに立っていたのかも分からない。
ただ、薄暗かった外が真っ暗になって、車のヘッドライトで仄かに明るい。
その明かりが、妙にぼやけて見えて、チカチカする。
横を通り過ぎる人たちが、訝しげに俺をみて、知らんぷりして通り過ぎていく。
今の状態で、千秋さんのマンションには帰りたくない。
だからといっても、実家にも帰れない。
ぼんやりとした視界に、くらくらする頭。
横断歩道の前に立ったままだったが、立っているのが辛くなりしゃがみこんだ。
――プップッ。
頭を抱えてしゃがみこんでいた俺の横に不自然に停まった車。
…千秋さんかもしれない。
キッチンは散らかったまま、鍋に入っている生のままの白菜と豚肉に不思議に思った千秋さんが探しに来たのかもしれない…。
やだ。今、千秋さんの顔は見たくない。
逃げよう…。
俺は立ち上がり、走ろうとしたが、思いっきり立ち上がったので立ち眩みでフラフラした。
……倒れる…。
そのまま前に倒れそうになった俺を、誰かの腕が支えた。
俺の腹に白のYシャツを腕まくりした手が回り込んで支えている。
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